戸籍の氏名に読み仮名を付ける検討を進めている法制審議会(法相の諮問機関)の戸籍法部会は17日、読み仮名に関する中間試案をまとめた。従来の漢字の読み方と異なる「キラキラネーム」などをどの程度認めるかについて、3つの案を提示。5月下旬からパブリックコメント(意見公募)を実施する。法務省は来年の通常国会に関係法令の改正案を提出する方針。
戸籍法には氏名の読み仮名に関する規定がなく、戸籍には読み仮名が記載されていない。
社会のデジタル化に伴い、給付金の迅速な支給などのために行政機関が持つ氏名データを活用するニーズが高まっているが、法務省によると、氏名は大半が漢字で常用漢字表にはない「外字」などもあり、データベース化の作業が複雑になっているという。
このため政府は、データ検索などをしやすくするため、平仮名や片仮名などの読み仮名を戸籍に新たに記載できるようにし、利便性を高める対策を検討。昨年9月に諮問を受けた法制審が議論を進めてきた。
中間試案が読み仮名を認める範囲として提示したのは、①権利乱用や公序良俗に反しないもの②音訓読みや慣用で読め、字の意味と関連があるもの③音訓読みや慣用で読めなくても、字の意味と関連はあるなど省令で定められたもの-の3案。①は最も許容範囲が広く②が最も厳格、③はその中間に当たる。
例えば「光宙」に「ぴかちゅう」と読み仮名を振る場合は字の意味との関連があり、音訓読みでも読めるため②に該当し、3案のいずれでも認められる。「山田太郎」を「てつわんあとむ」と読ませるなど、字の意味と全く違う場合は認められない可能性がある。
このほか中間試案では、読み仮名の表記について、片仮名にする案と平仮名にする案の両案を提示。どちらで読み仮名を登録するかは、一定期間内に国民が自治体へ申し出るか、申し出がなければ、自治体が職権で記載するとした。