宇都宮市は集中豪雨などで側溝や下水道などから水があふれる「内水氾濫」の浸水想定区域と避難方法などの情報をまとめた「内水ハザードマップ」を作成した。浸水想定区域内の家屋、自治会などに配布するほか、同市ホームページでも公開している。市民が河川などによる洪水に劣らない脅威として内水氾濫を認識し、備えに向けた心構えを醸成する狙いだ。
内水氾濫では、短時間の大雨で側溝や下水道から水があふれ、周囲よりも低い土地や立体交差における下の道路(アンダーパス)などで局所的に浸水が発生する。河川などの洪水と比べて被害は小さいが、発生頻度は高く、被害発生までの時間が短いなどの特性がある。
マップは下水道が整備されている市街化区域などについて中央、北、東、南部の4版に分けた。浸水が想定される危険箇所を表示した地図のほか、避難時の心得や非常時の持ち出し品、避難情報の収集先などもまとめている。
同市では、令和元年の東日本台風で河川の洪水による外水と内水氾濫が同時に発生し、市中心部などが甚大な被害を受けた。全国で局地的な大雨の被害が増える中、市民の防災意識を高めるとともに、災害時に迅速な避難ができるようにするため、初の内水ハザードマップを作成した。
同市では「ハザードマップを見て、普段から避難経路を確認しておくほか、家庭内での備蓄品など災害時に備えてほしい」と話している。(松沢真美)