わずか2週間で4630万円全額が消えた―。山口県阿武町が新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金4630万円を誤送金した問題で、男性(24)の弁護士が山口市で記者会見し、「男性がスマートフォンでほぼ全額を使い切り、返還が困難な状況だ」と明らかにした。借金返済ではないといい、「返済に充てられる金や財産的な価値のあるものは所持していない。訴訟で何らかの解決が図れるように検討したい」と語った。
これまでの町などの調査で、4630万円は入金から2週間弱で大半が個人口座から移動されていた。男性は入金された自身の口座から、スマホを使って送金したとみられる。使途や動機も話しているとしたが「事実確認が取れていない」と明らかにしなかった。弁護士は「使い切ったということか」という質問に、「おおむねそう理解していい。借金返済ではない」と話した。
一方、町が12日の提訴時に男性と連絡が取れなくなっていると説明したことに関し「所在不明になった事実は一切ない」と反論。男性は4、5月の2回、県警の任意聴取を受け、スマホを提出して返還されておらず連絡手段がないためだと主張した。男性と弁護士は連絡が取れているという。
給付金は1世帯当たり10万円。町が住民税非課税の463世帯に10万円ずつを振り込んで正規の手続きを終えた後の4月6日、名簿の一番上にあった男性の名前と4630万円の金額が記載された振込依頼書を、町職員が誤って金融機関に提出。同8日に全額が男性の口座に振り込まれた。