主張

部活指導の暴力 外部の目が届く仕組みを

産経ニュース
記者会見の冒頭に謝罪する私立秀岳館高の中川静也校長(右端)ら=5日午後、熊本県八代市
記者会見の冒頭に謝罪する私立秀岳館高の中川静也校長(右端)ら=5日午後、熊本県八代市

「指導」に名を借りた暴力が、学校の部活動で横行していることに憤りを禁じ得ない。

熊本県八代市の私立秀岳館高校サッカー部で、30代の男性コーチが部員に殴る、蹴るの暴行を加えていた問題である。

別の部員が遠くから撮影した暴行の様子は交流サイト(SNS)に投稿され、多くの人の目に触れることになった。熊本県警は暴行容疑でコーチを書類送検した。

学校が行った調査では、このコーチによる部員への暴力が24件も確認されたという。指導の域を越えているのは明白で、厳正な処分を求めたい。

看過できないのは、暴力に関する情報が段原一詞監督のもとで止まり、学校側との共有がなされていなかったことだ。段原氏の校内での役職は「校長補佐」で、教頭と同格とされる。地位にものを言わせた隠蔽(いんぺい)との疑いが拭えず、SNSへの投稿がなければ明るみに出なかった恐れもある。

問題発覚後、暴行動画の投稿について部員11人が顔を出して謝る姿もSNSに掲載された。当初は部員の自主的な陳謝とされたが、撮影には段原氏が関わっていたことが後に分かった。

さらに、段原氏が一部の部員を「加害者」となじり、自身を「完全な被害者」と言い張る音声も流出した。自己保身に走る姿は実に見苦しい。

サッカー部では、部員間の暴力行為も13件確認された。暴力が部の体質として染みついており、監視を含む管理を怠ってきた学校側の責任も大きい。

文部科学省の調査によれば、令和2年度は児童・生徒に対する教職員の体罰が485件確認され、部活動に関連する事案は約2割の93件だった。これらは氷山の一角にすぎない。秀岳館高のような事案が、各地の部活動でも埋もれているとみるべきである。

大阪・桜宮高校のバスケットボール部で、顧問教諭から体罰を受けたことを苦に男子部員が自殺したのは10年前だ。いまだに暴力に頼る指導者が後を絶たず、スポーツの価値が歪(ゆが)められているのは嘆かわしい。

指導者の意識改革は当然だが、部活動の閉鎖的な体質も改めなければならない。外部の目が行き届く仕組みの構築を、各学校は急いでほしい。現場の指導者に全てを任せてはならない。

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