沖縄復帰50年

自衛隊への理解進む沖縄 緊張感高まる東アジア、増す重要度

産経ニュース
蛯原寛子准陸尉=4月20日、東京都内のホテル(竹之内秀介撮影)
蛯原寛子准陸尉=4月20日、東京都内のホテル(竹之内秀介撮影)

15日で本土復帰50年を迎える沖縄県では、軍事力を背景に海洋進出を強める中国を念頭に、自衛隊の部隊配備が進んでいる。先の大戦で戦禍の犠牲になった記憶から復帰後しばらくは隊員への差別的扱いが続いたが、地道な地元への貢献により県民感情も改善。ロシアのウクライナ侵攻を機に東アジア情勢も緊張感を増す中、沖縄の自衛隊の重要度は確実に高まっている。(竹之内秀介)

「自衛隊への風向きは良い方向に変わってきた」

陸上自衛隊第15旅団(那覇市)で、昨年3月から下士官の最上位に当たる最先任上級曹長を務める蛯原寛子准陸尉(53)=那覇市出身=はこう実感している。短大卒業後、平成元年に入隊したが、親族に入隊の事実を切り出すまで5年の時を要したという。

躊躇(ちゅうちょ)した背景には沖縄が歩んできた歴史がある。先の大戦末期、熾烈(しれつ)な地上戦で当時の県民の4分の1が死亡し、戦後は米軍統治を経験。本土復帰後の昭和47年10月に第15旅団の前身部隊が那覇駐屯地を開設したが、自衛隊を旧日本軍と重ね、隊員の住民登録や成人式への参加が拒否されるなど差別待遇を受けた。

それでも救急患者の自衛隊機による空輸や不発弾処理といった地道な活動を積み重ねた結果、県民の抵抗感も薄れてきたという。「『身内』として受け入れてもらえるようになった印象がある」と蛯原准陸尉。昨年には那覇駐屯地の隊員向け成人式に地元首長が祝賀メッセージを寄せるなど、政治的にも歩み寄りが見られる。

こうした雰囲気を裏付けるのが、沖縄出身者の入隊者の数だ。自衛隊沖縄地方協力本部によると、昭和47年はわずか15人だったが、54年に215人と200人台を初めて突破。時期によっては2桁台に落ち込むなど増減を繰り返しながら、ここ5年は安定して200人を超えるようになった。

沖縄では近年、自衛隊の増強が目立っている。陸自は平成28年に本島以外では初めて与那国島に駐屯地を開設。31年には駐屯地を宮古島にも設置し、今年度末には石垣島に新設する計画もある。空自は28年に「第9航空団」を那覇基地に新たに置いた。

いずれも軍事的な圧力を強める中国を念頭に置いた措置だ。中国は今月、空母「遼寧」で沖縄本島と宮古島の間を南下。昨年12月にもこの海域を通過しており、ある自衛隊関係者は「明らかに日本を牽制(けんせい)する動き。ここまで中国は展開できるんだぞという威圧のメッセージを送ってきている」との見方を示す。

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拓殖大海外事情研究所の川上高司教授はロシアのウクライナ侵攻を例に挙げ、「十分な抑止力を持っていない国は容易に侵略されてしまうことが証明された。中国の軍事的脅威が増す中、日本も自衛力を高めなければ東アジアの均衡が崩れかねない」と指摘する。

安全保障に詳しい日本大の吉富望教授は「中国の強大化で米国単独では中国に対応しきれなくなっており、日本にも主体的な協力が求められるようになっている」とした上で、「自国を自国で守る姿勢を示していかなければ、他国から救いの手は差し伸べられない」とする。

約2千人の隊員を率いる立場になった蛯原准陸尉はウクライナ侵攻後、隊員にこんな言葉をかけるようにしているという。

「ウクライナでは国家間のパワーバランスが崩れて、戦争が起きてしまった。沖縄にいるわれわれが日々訓練して抑止力を高める意義は、今まで以上に高まっている」

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