ソフトバンク・東浜巨投手(31)が11日、西武戦(ペイペイドーム)でノーヒットノーランを達成した。4月10日にロッテ・佐々木朗希投手(20)がオリックス戦(ZOZOマリン)で完全試合を成し遂げたのに続き史上84人目(通算95度目)の快挙。パ・リーグでは30人目(31度目)。球団では2019年9月の千賀滉大投手(29)以来となった。
島人の夢を乗せた白球は27個目のアウトに変わり、両腕を突き上げた。ソフトバンク・東浜が自身初のノーヒットノーランを達成。沖縄出身の選手で初の快挙に、心地よく第一声だ。
「疲れました。でもこんなに気持ちのいい疲れは久しぶりです」
二回と五回に四球を与えたが、併殺に打ち取った。九回2死。金子へのラストボールは150キロ直球で二ゴロとして、結果的に打者27人斬りだ。「変化球を操れて、真っすぐもしっかり投げられた」。東浜のこだわりが詰まった97球だった。
プロ入り当初に掲げた理想は「10安打完封」。代名詞のシンカーなど駆使して総合力で勝負するスタイル。ヒットも打たれる中で、どうホームを踏ませないかを大切にしてきた。初めて並べた「0安打」だが、理想が揺らぐことはなかった。
「それ(10安打完封へのこだわり)は変わらないです。もしかしたらそれで完封した方がうれしいかも。その信条は曲げずにいきたいですし、変わらないと思います」
故郷への思いも刺激となっている。4日のオリックス戦(ペイペイドーム)で、同じ沖縄出身の宮城と投げ合った。ともに勝敗はつかなかったが「(自分たちが結果を残せば)沖縄の野球のレベルが上がっている証明にもなる」。次回登板は17日からの西武戦(那覇)の見込みで、胸を張って地元に凱旋できる。
2019年9月6日のロッテ戦(ヤフオクドーム)の千賀以来、球団3人目のノーヒットノーランでチームを7連勝に導き、藤本監督も「素晴らしいピッチングだった」と手をたたいた。4勝は田中将(楽天)と並んでリーグトップタイ。2位のチームは首位の楽天に3・5ゲーム差に詰め寄った。
「(投球内容は)大満足です。でもあしたからは、切り替えてやっていきたいです」
すぐに表情を締めた。忘れられない喜びを味わった東浜が大黒柱になる。(竹村岳)
◆東浜と同じ沖縄県出身の西武・山川 「最高の球が来ていたので参りました。完敗です。ずっとやられるわけにはいかないので次は打ち返せるようにしたい」