映画「義足のボクサー GENSAN PUNCH」(ブリランテ・メンドーサ監督、6月10日全国公開)に主演したモデルで俳優の尚玄(43)が12日、大阪市内で取材会に出席した。
義足のため日本ではライセンスを所得できず、フィリピンでプロボクサーになった土山直純さん(39)の実話をモチーフに、「キナタイ マニラ・アンダーグラウンド」でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞したフィリピンの名匠メンドーサ監督がメガホンを執った。
知人の紹介で10年前に知り合った土山さんから映画化の承諾をもらった尚玄は、「全国的に知名度のある俳優なら簡単かもしれないけど、企画を立ち上げて作るのは挑戦だった」という。
「直純君はフィリピンでライセンスを取れる確証がなかった。僕も沖縄出身で日本人離れした顔をしていることもあり、あまり役をもらえず、30歳のときにニューヨークへ芝居の勉強にいき、オーディションで役をもらえるように。共感するところがあったんです」
試合以外の場面では右のシューズのかかとにペットボトルのキャップを入れて義足の感覚を意識。右足が義足の元女性陸上選手に足を出すタイミング、坂の上り下り、お風呂の入り方など疑問に思ったことを動画で送ってもらった。
「僕が描きたかったのは『ロッキー』じゃなく、ボクシングじゃないけど、ミッキー・ロークの『レスラー』のようにその人の生きざま。監督にも、負けの美学、引き際を描きたいと最初の段階で伝えてました」
構想8年。ようやく公開のときを前に「ボクシングが題材だけど、ヒューマンドラマ。コーチとの師弟愛だったり、日本で待つ母親と妹に証明したいものだったりを、格闘技ファン以外にも見てほしい」と願う。