ロシア暴虐から復活願う ウクライナの空と小麦 鹿間孝一

産経ニュース
ウクライナ首都キーウ近郊のボロディアンカで、破壊された家々のそばに咲くチューリップ=5日(ロイター)
ウクライナ首都キーウ近郊のボロディアンカで、破壊された家々のそばに咲くチューリップ=5日(ロイター)

1年のうちで5月が一番好きだ。英国には「3月の風と4月の雨が5月の花をもたらす」ということわざがある。生まれ育った北海道でも、気候が似ているせいか、この時期になると花々が一斉に咲きそろう。お花見も5月の中頃だったが、百花繚乱で主役のサクラは影が薄かった。

数年前、妻の実家の庭から芝桜を持って帰り、マンションの花壇に植えた。あまり手をかけていないのにいつの間にか増えて、今年は濃いピンクのカーペットを敷いたようになった。

コロナ禍でガーデニング(園芸)や家庭菜園が人気という。〝巣ごもり〟を余儀なくされ、自宅の庭で野菜を育てたり、ベランダに花やハーブの鉢植えを置く家庭が増えた。季節を感じ、花を愛でるのは平和の証しである。

2度の世界大戦があった20世紀は「戦争の世紀」だった。ソ連の崩壊と東西冷戦の終結で幕を閉じ、21世紀は「環境の世紀」とされる。環境汚染に加えて、人口爆発、食糧危機など難問が山積するが、とりわけ二酸化炭素などの温室効果ガスを削減して地球温暖化に歯止めをかけることが喫緊の課題である。各国は化石燃料から再生可能エネルギーへの代替に取り組み、SDGs(持続可能な開発目標)は昨年の新語・流行語大賞にノミネートされた。

だが、時計の針は逆回転して、再び「戦争の世紀」になりそうだ。ウクライナに侵攻したロシア軍は、住宅、病院、学校などの民間施設をも容赦なく攻撃し、要衝の都市を徹底的に破壊した。がれきの山と化した惨状、路上に放置された民間人の遺体は目を覆いたくなる。

プーチンはウクライナの「非ナチ化」が侵攻の目的として、暴虐を正当化し、ロシア国民にゼレンスキー政権への憎悪を植え付けている。何という悪辣。

ロシアの文豪、トルストイの名作「復活」の有名な冒頭部分を引用する。

〈人間が一つの小さな場所に何十万も寄り集まって、自分たちがひしめき合っているその土地を、どんなに傷つけ損なおうと努めても(略)、どんなに石炭や石油の煙でいぶしても、どんなに木々の枝を切りちぢめ、動物や小鳥たちを残らず追い払おうとしても――春は都会の中でさえも春だった。〉(岩波文庫、藤沼貴訳)

ウクライナの国旗は青と黄(金)色の2色で、青は空、黄は大地を染める小麦畑を表している。いつか砲声がやみ、豊かな農業国が〝復活〟することを切に願う。

しかま・こういち 昭和26年生まれ。社会部遊軍記者が長く、社会部長、編集長、日本工業新聞社専務などを歴任。特別記者兼論説委員として8年7カ月にわたって夕刊1面コラム「湊町365」(産経ニュースでは「浪速風」)を執筆した。

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