(セ・リーグ、阪神2-3広島、8回戦、広島7勝1分、11日、甲子園)先は長かったが、最後までつなげると踏んだ。早めの継投に打って出た矢野監督だったが、凶と出た。先発の秋山を、1点はリードしていたものの四回まででスパッと交代。苦しさゆえの決断だったが、結果的に次なる苦しみを生んだ。
「上位にいい感じに打たれていたんで。まあ、あそこまでかなと」
浴びた6安打も、それ以外も痛烈な当たりが多かった。2-1で迎えた五回が1番から始まる局面だったことで、指揮官はベンチを立った。2番手で加治屋を送り出し、頼れるリリーフ陣で〝あと5イニング〟をつなぐと決断した。
加治屋は無安打で五回を封じたが、落とし穴に飲み込まれたのは、この日まで11戦で無失点投球を続けていた3番手・渡辺だった。六回先頭でマクブルームに中前打を浴び、坂倉の二ゴロで1死は奪ったが、続く小園に右中間へ同点三塁打を浴びた。カウント0-2から浴びた痛恨の一打に矢野監督は「追い込んでの、あの1球というのはすごくもったいないよね」と悔やんだ。
続く右打者の末包にも渡辺が続投。しかし中犠飛を打ち返され、結局これが決勝点に。継投のきめ細やかさを欠いたのが裏目に出てしまった。
今季の虎は、打線の反発力のなさもたたって、先発が5回を投げられなかったゲームは「0勝9敗1分け」だ。4月21日のDeNA戦(横浜)でも先発の斎藤に代え、2点リードの四回から馬場を送り出したが、逆転を許した。勝ちパターンが確立されてきた一方、序盤や中盤からの乱戦を、一向にモノにできずにいる。
秋山がしゃきっとしていれば、誰かが打っていれば、というすべての影響を受けて、継投にほころびが生まれた。誰かが踏ん張らなくては、このまま負の連鎖を断ち切れない。(長友孝輔)