4月21日の広島戦(東京ドーム)。ドラフト1位で昨季入団した巨人・平内龍太投手(23)がプロ初勝利を挙げた。
兵庫・神戸国際大付高、亜大を経てプロの門をたたいた剛腕。即戦力として期待された1年目は、1軍での登板は3試合、計5回で防御率14・40。〝プロの壁〟を打ち破ってつかんだ念願の白星だった。恩師の神戸国際大付属高・青木尚龍監督(57)は「大事な場面で任されて、そこで結果を残したことが最高にうれしい」と自分のことのように喜んだ。
「(性格は)真っすぐなやつで、負けず嫌いの塊。プロ野球選手になりたいという気持ちが本当に強かった」
青木監督は教え子の印象を懐かしそうに振り返った。平内を指導した3年間。指揮官の脳裏に刻まれるのは、度重なるけがと向き合う姿だった。
入学して間もない頃から肩、肘の故障に肉離れ、腰痛…。「楽しく笑いながら野球をしていた時期が少なかったんじゃないかな」。故障が多く、本格的に試合で投げ始めたのは3年春から。思うように野球ができない日々がほとんどだったという。
投げられない葛藤を抱きながらも、必死にリハビリと練習を繰り返したが、時には心が折れ、下を向くときもあった。そんな時は「それじゃ、あかんやろ」と厳しくも愛のある言葉で指導していたことを回想した。
プロ2年目のシーズンが開幕した3月末のこと。ドラフト1位・大勢(関西国際大)ら若手が1軍で活躍する中、巡ってくるチャンスに備えて、ジャイアンツ球場でひたむきに練習に取り組む姿があった。挫折を味わっても下を向かずに、前を向く。恩師の教えは今でも胸に刻まれている。
「今後も大事な場面で使ってもらって信頼をされる投手になってほしい」と青木監督。教え子の活躍を心から願った。(樋口航)