カフェや託児所…物流施設、イメージ一新の狙い

産経ニュース

物流施設に近年、変化が訪れている。フィットネスジムやレストラン、託児所などを備え、休日にはイベントも開催される。eコマース(ネット通販)拡大を背景に物流施設の建設ラッシュが続く一方で、過酷な労働環境のイメージから施設で働くパートやアルバイトの人手不足は深刻化。2年後には法律でトラックドライバーの長時間勤務が規制され、ドライバーをどう確保するかが課題になる。そこで今注目されるのが、労働環境の改善や効率化が進む新しい物流施設だ。

フィットネスジムも

日本GLP(東京)が建設中の物流施設「GLP ALFALINK(アルファリンク)流山(ながれやま)」(千葉県流山市)は、約42万平方メートルの土地に最終的に8棟の物流施設が並ぶ予定の日本最大級の拠点だ。

物流施設というと企業が所有する倉庫をイメージするが、近年では不動産開発会社が所有する賃貸物流施設に企業が入居するケースが増加しており、アルファリンク流山もその一つ。現在4棟目まで完成しており、すでにアパレル、物流関連など、多くの企業が入っているという。

特徴は共用施設の充実で、カフェやレストラン、コンビニエンスストアだけでなく、託児所やフィットネス設備、シャワールームなどを備える。イベントスペースや公園もあり、地域住民を交えた催しも実施している。流山市は千葉県内で人口増加率が5年連続で1位となっている子育て世帯に人気のエリアで、女性も働きやすい環境を用意すれば、入居企業は物流施設で働く従業員を容易に確保することが期待できる。

物流関連の業務に従事する従業員を雇うのに企業は苦労している。パート求人情報サイト「バイトル」を運営するディップによると、軽作業や物流アルバイトの2月の平均時給は1189円で前年同月から11・7%増加。待遇を引き上げ従業員を確保する動きが広がっている。

アルファリンク流山のような特色を持つ施設に入居するのも、より良い待遇につながる。日本GLPの帖佐義之(ちょうさよしゆき)社長は「物流の現場を地域や社会に開かれた存在に変え、優秀な人材が集まる魅力的な業界にしていきたい」と力を込める。

DXでトラック待ち時間削減

労働環境改善だけでなく、IT技術を活用して物流施設の事業構造を抜本的に改革するDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるのが大和ハウス工業だ。同社は人工知能(AI)やロボット技術に特化した企業をグループ内に持ち、連携して物流の効率化を目指す。

令和3年7月にはDX推進本部を立ち上げ、4年度から自社の施設に入居する企業向けに物流改善のためのコンサルティングサービスを開始する予定。また、花王や日立物流、豊田自動織機などと共同で、AIを搭載した自動運転フォークリフトを使ったトラックの積卸自動化の実証を3年9月から開始した。実用化すれば労働者の負担やトラックの待機時間を削減し、省エネにも貢献できるという。

物流業界は業務の非効率が指摘されており、国土交通省によると、ドライバーの物流拠点での待ち時間は平均1時間45分と長い。フォークリフトやオペレーターの数が少なかったり、作業効率が悪かったりすることなどが理由とみられる。物流拠点に1回来てトラックへ積み込む荷物の積載率(最大積載量に占める積み荷の割合)も約40%にとどまる。

さらに物流業界は「2024(令和6)年問題」に直面。働き方改革関連法が6年4月に自動車運転業務へ適用され、ドライバーの年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されるため、1人を長時間働かせるわけにはいかなくなるのだ。業務の効率化が喫緊の課題となる。

大和ハウス建築事業本部事業統括部長の井上一樹氏は「物流会社の独力で待機時間をなくしたり、積載率を100%に近づけることはできない。サプライチェーン(供給網)を一括管理する仕組みを構築して、業界のDXを推進したい」と話した。

脱炭素で社会の課題解決

カーボンニュートラル(脱炭素)を進めるケースもある。オリックス不動産は物流施設での再生可能エネルギーの活用に力を入れる。

同社運営の「松伏(まつぶし)ロジスティクスセンター」(埼玉県松伏町)では4年3月から100%再生可能エネルギー由来の電力供給を開始。屋根に設置した太陽光発電システムの自家消費などで、施設の二酸化炭素(CO2)排出量を年間で約970・8トン削減できる見込みだ。天候不順で電力が不足する場合は、オリックスグループから再エネ由来の電力が供給される。

投資開発事業本部の久保田勲副本部長は「サステナビリティ(持続可能性)を意識した取り組みは時代の要請で、もはや不可欠といえる」と強調する。国内では昭和に建設された築40年を超える施設が建て替えの時期に差し掛かっているといい、「働きやすさはもちろん、社会や地域の課題の解決に協力していく役割がこれからの物流施設には求められる」と話す。

物流施設の最近の傾向について、近畿大経営学部の高橋愛典(よしのり)教授(ロジスティクス論)は「昔はあまりいい印象を持たれていなかったが、人手不足などを背景に生まれ変わろうとしている」と分析する。

ただ、新型コロナウイルス禍によるネット通販の拡大を受けた物流施設の需要は、東京近郊では落ち着きを見せ始めている。

物流不動産調査会社の一五不動産情報サービス(東京)によると、東京圏の賃貸物流施設の空室率は3年1月の0・2%を底に上昇に転じ、4年1月には2・5%となった。これに対し関西圏では空室率が1・5%と前年から変わらず低く推移しており、今後も需要は堅調に推移するとみられる。(桑島浩任)

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