【ワシントン=塩原永久】米国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官は9日、米欧などがロシアのウクライナ侵攻に対処する一方、覇権主義的な動きを強める中国を念頭に、「より大きく根源的な21世紀の課題はインド太平洋地域にある」と述べた。特に中国が関係を深める南太平洋の島嶼(とうしょ)国ソロモン諸島を挙げ、外交的関与を強める方針を強調した。
キャンベル氏はインド太平洋地域と米欧関係に関する米シンクタンクのイベントで講演した。
同氏は、ウクライナ危機で差し迫った関心が欧州に向いているが、根源的な問題はインド太平洋地域にあることを「認識しなければならない」と語った。
台湾をめぐり米欧が対話を深めることで、「台湾海峡の平和と安定を維持することに深い利益」を共有しているとのメッセージを、中国などに発することができるとした。
中国が安全保障協力に関する協定を締結したソロモン諸島に関し、「米国はもっとうまく対応すべきだ」と指摘。9月にソロモンへ米代表団を再派遣するとして、外交的な働きかけを強める構えをみせた。キャンベル氏らは4月下旬、ソロモンを訪れ、中国との協定への懸念を伝えていた。
これに関連し、キャンベル氏は、ソロモン支援を検討する「複数の国々が効果的に連携してこなかった」と指摘。島嶼国の生活水準の向上などに向け、日本やオーストラリア、韓国、欧州連合(EU)など同盟国・地域との協力を強化していく方針を示した。