これまで観光キャンペーンを主に秋に展開してきた山梨県が、今年初めて夏の大型キャンペーンを仕掛ける。新型コロナウイルス感染拡大で大きく落ち込んだ観光産業の反転攻勢につなげるためで、県内の全市町村、JR東日本などと共同で取り組む。県独自の対策でコロナ感染を押さえ込む「コロナ対策先進県」という優位性を生かし、他の地域との差別化を図る。
初めての「夏」
「夏場は特に打ち出しをしなくても、多くの観光客を取り込めていた。だがコロナで観光業が疲弊しきっており、復旧を急ぎたい」
山梨県の矢野久観光振興課長は7~9月の「山梨県特別観光キャンペーン」の狙いをこう説明する。
キャンペーンはJR東が4半期ごとに、自治体と共同で誘客を図る「重点販売地域」の仕組みを活用。JRグループの観光キャンペーンでは「デスティネーションキャンペーン」が最大級だが、重点販売地域はそれに次ぐ規模との位置づけだ。今年7~9月は山梨県のほか、青森、岩手、秋田の北東北3県が選ばれた。
山梨県では、キャンペーンの推進協議会を全市町村、観光関連団体、地元財界、JR東の八王子支社などと共同で立ち上げた。旅行業者や宿泊・観光施設などによる商談会をはじめ、特設サイトやSNS(交流サイト)を活用しての販促を展開。事業費は3300万円で、県や市町村、JR東などで負担する。
プレミアム化狙う
取り組みの手順は、各市町村などがイベントやパックツアーの企画案を持ち込む。ただ、赤岡重人・県観光文化部長が「最大収益が得られるよう、付加価値の高い中身を提供していきたい」と話すように、方向性は「プレミアム化」だ。