日本線は会社の中でも特別な路線で、「日本語スピーカー6人乗務」という規定があります。日本以外の路線では、就航先の言葉を話せる人がいれば良いのですが、日本線だけは、日本語・日本文化を考慮した上で日本語スピーカーが必要とされています。
「10年弊社CAをやっていて一度も日本線に就いたことがない」という外国人クルーの嘆きもたまに耳にします。
日本人だと分かった瞬間、求婚されることもしばしば
日本人だと分かった瞬間に他国クルーから求婚されることもあります。日本人CAの同僚にこのことを話すと共感してくれたので“日本人クルーあるある”なのかもしれません。私が経験した「プチ求婚エピソード」をご紹介します。
フライトが終わり、現地ホテル行きのバスに向かって歩いている中、アラブ出身男性CAと話していて「日本のパスポートは世界一強いらしいよ」と言うと、「えっ、今独身?」「良かったら結婚しない?」と急展開プロポーズを受けたのです。
パスポートを狙って求婚される日が来るとは…。渡航前には想像できなかったような経験ができました。
日本人だからこそ苦労することも…
日本人として得することばかりではなく、文化の違いで苦労することもあります。海外で働く中で日本人だからこそ衝突する壁、それは「主張性」です。友人のエピソードを1つ借りてお伝えします。訓練中、クラス17人の中で日本人が6人いました。教官から3人1組で呼ばれ、教官と現在まで経過について面談をする時間が設けられました。
クラスメイトたちは国籍がバラバラで面談に呼ばれるのに、なぜか日本人3人で面談に来るよう言われました。3人で教官の待つ部屋に入ると、教官から一言「あなたたちの共通点が分かる?」と尋ねられました。
共通点といえば3人全員が日本人であること。そしてもうひとつの共通点は「授業中に静かすぎる」こと。3人は「もっと発言を沢山しているクラスメイトたちを見習いなさい」と指摘され“撃沈”させられたそうです。
日本では「協調性」を大切にする文化がありますよね。学生の頃の授業でも、クラスの進行は妨げず終わった後に質問をするのが良いと考えていました。その習慣が私たちには染み付いていることを改めて感じた瞬間でした。
海外では「主張性」を大切にする国が多く、訓練の授業や仕事中の話し合いでも発言することが大切です。
苦手だった日本の「気遣い文化」「空気を読む文化」
日本で暮らしていた頃、「空気を読む」「気遣い」の文化が正直、苦手でした。自由を制限されているような苦しさを感じていたのです。