では、どんな対露支援が考えられるか。
ロシアの決定的敗北を避けるためには、「継戦能力の維持」が目的になる。経済支援はもとより、西側諸国に見えない形での軍事支援だ。例えば、中露双方に近いカザフスタンのような国を経由して、武器を供給する可能性があるのではないか。
中国にとっての不確定要素もある。最大の懸念材料は、プーチン氏が戦術核に手を伸ばした場合だ。
中国は「敵に核攻撃されない限り、自分からは核を使わない」という、核の先制不使用ドクトリンを一応、掲げている。だが、ロシアは違う。
プーチン氏は2020年6月、「通常兵器であっても、国の存続が脅かされれば、核で反撃する権利を留保する」という大統領令に署名した。これは「脱エスカレーションのためのエスカレーション」と呼ばれている。「戦術核を一発落とせば、敵は一挙に崩壊し、戦いは終わる」という考え方だ。
プーチン氏は一発逆転を狙って、核の命令書にサインするかもしれない。そのとき、中国はどう動くか。
それでも、ロシアを支援するなら「自らのドクトリンに反してでも、米国と対決する」という話になる。そうなれば、いよいよ、「米国を中心とする西側諸国と、中露の本格対決」は避けられない。