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『ラブカは静かに弓を持つ』 感動のスパイ×音楽小説

産経ニュース
『ラブカは静かに弓を持つ』
『ラブカは静かに弓を持つ』

『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒著(集英社・1760円)

知力・体力に秀でた特殊工作員が国際的な陰謀をめぐって暗闘する―。「スパイ小説」と聞くと多くの方が、そんな展開を想像されると思います。今作はそんな想像を大きく裏切り、想像を超えた感動へと読者の皆さんを誘う〝スパイ×音楽小説〟です。

舞台は現代日本。主人公の橘は音楽著作権管理団体に勤め、ごく平凡に日々の業務をこなしている会社員です。

あるとき、上司から呼び出された橘が、音楽教室への2年間の「潜入調査」を命じられるところから、物語の幕が開きます。調査の目的は、著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。

5歳から13歳まで、熱心にチェロ教室に通っていた橘ですが、ある事件に遭遇したことをきっかけに楽器を捨て去り、事件のトラウマに悩まされながら、心を閉ざし生きてきました。けれども、上司からの絶対的な命令には逆らえず、型破りなチェロ講師、浅葉のもとに通い始めます。「激務の合間を縫って、趣味としてチェロを再開した公務員」という偽りの仮面を被(かぶ)る橘でしたが、時を重ねるうちに、師と仲間と過ごす時間が、奏でる歓びが、凍りついていた心を解かしていきます。同時に、証人として法廷に立つときが刻々と近づいて…。

人と人とが出会い、時を重ねて生み出される信頼という感情。そのかけがえのなさが、チェロの深い響きとともに真っすぐに胸を打つ物語です。橘が最後に何を選びとるのか、ぜひ見届けてください。

(集英社文芸書編集部 伊礼春奈)

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