(セ・リーグ、中日1―0阪神、6回戦、中日4勝2敗、6日、延長十回、バンテリンD)0―0の延長十回1死満塁。勝利を決める打球が中前に抜けると、アイシングをしていた中日・大野雄は両手にペットボトルを持ってベンチを飛び出し、殊勲の石川昂に水をかけた。もう少しで球団初の完全試合という、見事すぎる10回1安打完封劇だった。
「10回を投げて、最後に(石川)昂弥が決めてくれて、全てが報われたというか。記録なんてどうでもいいので、勝ってよかったです」
一回に近本から見逃し三振を奪い、ショーが幕を開けた。直球に鋭いフォークとキレ味十分のツーシームを織り交ぜ、虎打線を圧倒。2019年9月14日の阪神戦(ナゴヤドーム)で成し遂げたノーヒットノーランを超える完全試合の偉業へ、ついに一人の走者も出さずに27人を封じた。
投げ合う青柳も竜打線を散発2安打に封じ、援護のないまま延長戦に突入。十回2死でついに佐藤輝に中堅右を破られ(記録は二塁打)、場内は悲鳴に包まれた。
それでも左腕は「ホームランじゃなくてよかった」と冷静だった。一塁が空いている状況で4番・大山と勝負し、直球で二飛に料理して役目を全う。熱投に打線が応え、歓喜の瞬間は訪れた。