日本初の月面着陸機「OMOTENASHI」を載せた メガ・ロケット「SLS」の打ち上げ迫る

SankeiBiz

東京大学が中心となり、JAXA、日本大学などが協働して開発したEQUULEUSは、月の裏側に位置する地球と月のラグランジュ点(L2)に送り込まれる。この領域に配置された物体は、太陽と地球と月の重力と、物体に掛かる遠心力などの均衡によって、ずっとその位置、つまり地球から見て月の裏側に停滞することできる。

左のロケット「SLS」の「ステージアダプター」内部に、米国の10機、日本を含めたその他3機の超小型衛星を搭載。第2段ロケットからオリオン宇宙船が分離された後にリリースされる。
左のロケット「SLS」の「ステージアダプター」内部に、米国の10機、日本を含めたその他3機の超小型衛星を搭載。第2段ロケットからオリオン宇宙船が分離された後にリリースされる。

過去には中国の通信衛星「鵲橋(じゃっきょう)」だけがこの領域への投入に成功しているが、EQUULEUSが投入されれば、超小型衛星としては初の事例となる。サイズはわずか10×20×30cm、質量14kg。2台の閃光撮像カメラなどを搭載し、月裏面への隕石衝突を観測する。

超小型月面探査機「OMOTENASH」の内部構造(JAXA)
超小型月面探査機「OMOTENASH」の内部構造(JAXA)

もう一方のOMOTENASHは、世界最小の月面着陸のための実証機だ。サイズは12×24×37cm、質量12.6kg。月面に近づくと小型固体ロケットモータによって減速し、そのままセミ・ハードランディングする。

その際の速度は秒速50mと予想され、耐衝撃性にも工夫が凝らされている。月面環境を観測するための超小型の放射線モニタなどを搭載。専用に開発された装置も多いが、市販されている機器も流用されているという。これに成功すれば、月面探査を非常に低コストで行える可能性を世界に示すことになる。

この実証実験に成功すれば日本は、旧ソビエト(ルナ9号、1966年2月着陸)、アメリカ(サーベイヤー1号、1966年6月着陸)、中国(嫦娥3号、2013年12月着陸)に続き、世界で4番目に月面着陸に成功した国となる(インパクター、無制御落下、投棄は除く)。

ちなみに2022年には、日本の民間企業「ispace」による「HAKUTO-R」計画によるランダーや、同年度内にはJAXAの月面探査機「SLIM」も月面着陸を試みる予定だ。

【宇宙開発のボラティリティ】は宇宙プロジェクトのニュース、次期スケジュール、歴史のほか、宇宙の基礎知識を解説するコラムです。50年代にはじまる米ソ宇宙開発競争から近年の成果まで、激動の宇宙プロジェクトのポイントをご紹介します。アーカイブはこちら

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