主要企業アンケート

GDP回復「年内にコロナ前水準」4割に減少

産経ニュース
東京・渋谷のスクランブル交差点を行き交う大勢の人たち。新型コロナ禍での経済正常化の動きは進んでいるが、ウクライナ危機が影を落としている=3月21日
東京・渋谷のスクランブル交差点を行き交う大勢の人たち。新型コロナ禍での経済正常化の動きは進んでいるが、ウクライナ危機が影を落としている=3月21日

ロシアの侵攻によるウクライナ危機と、新型コロナウイルス禍での経済正常化を進める「ウィズコロナ」という前例のない二重苦に世界が直面する中、産経新聞が行った主要企業アンケートでは、景気・物価動向や感染対策などについて経営意識の変化を探った。

ウクライナ危機で不透明

新型コロナ禍での日本経済の正常化の歩みについて、企業の多くはウクライナ危機による環境変化で減速を見込んでいる。国内総生産(GDP)がコロナ禍前の水準に戻る時期を令和4年内と予想した企業の割合は全体(119社)の4割超で、昨年11~12月に実施した前回のアンケート結果の6割から大幅に減少した。

前回のアンケートを実施した時期はコロナ感染の状況が比較的落ち着いており、GDPのコロナ禍前水準の回復時期を6割が4年内、約15%が5年以降と予想していた。

しかし、コロナ禍でのサプライチェーン(供給網)の停滞や2月のロシアによるウクライナ侵攻で原油などのエネルギー価格や原材料、穀物などが高騰。経済環境の先行き不透明感が強まったことで、回答企業からは「個人消費が想定より伸びず、経済回復のペースは緩慢と予想」(商社)、「価格高騰、為替影響の先行きが不透明な状況」(小売り)など懸念の声が目立った。

このため、コロナ禍前水準の回復時期は「4~6月期」が約15%、「7~9月期」と「10~12月期」がそれぞれ約14%を占め、年内回復予想が4割超にとどまる一方、5年以降を予想する割合が約32%と倍増した。

ただ、3月の蔓延(まんえん)防止等重点措置の解除を受け「コロナ感染拡大が落ち着くにつれ、個人消費が回復」(機械)、「サービス消費の増加や製造業の生産活動が回復し、景気を押し上げる」(エネルギー)などの期待があり、厳しい営業状況が続いてきた外食業界でも「政府による物価高対策や賃上げ」で消費が持ち直すとの見方もあった。

一方、為替相場での円安進行の評価についてはプラスとマイナスが拮抗(きっこう)した。

円安が業績に与える影響については、71社が「出ている」と回答。輸入原材料のコスト増などで圧迫されているとの回答が16社だった半面、輸出などを通じて上向いているとした企業も18社あった。影響の内容で「その他」と回答した企業も37社あり、「海外事業の利益(円貨換算)増」(飲料)、「輸出・輸入両面で影響がある」(素材)などが挙がった。

価格転嫁「年内に値上げ」6割

ウクライナ危機で上昇の勢いが増した物価高の影響については、全体の4分の3に当たる88社が「影響がある」と回答した。運輸や建設、電力・ガス、電機・機械、食品、外食などの業種で目立った。「ない」は6社、「どちらともいえない」との回答は17社にとどまった。

物価高の影響を受ける88社に自社の製品やサービスへの価格転嫁について尋ねた質問では、「年内に値上げを実施するか、その可能性がある」と答えた企業は計53社と6割を占めた。このうち昨年10月~今年4月にも値上げを実施した企業は47社に上り、値上げに次ぐ値上げが広がっている。

日本銀行によると、3月の企業短期経済観測調査(短観)で、仕入れ価格について「上昇」と答えた企業の割合から「下落」の割合を差し引いた判断指数は大企業製造業が58と約14年ぶりの高水準だった。販売価格の判断指数も24と、第2次石油危機の影響を受けた昭和55年5月以来、約42年ぶりの高水準だが、仕入れ価格判断指数の上昇の勢いが大きく上回っており、価格転嫁が仕入れ価格の上昇に追いついていない実態が浮き彫りとなっている。

アンケートでも、課題として「タイムリーな価格転嫁」(食品)が挙がっており、企業は価格戦略を慎重に検討している。具体的には、「国・地域によって状況を見ながら値上げを順次実行している」(電機)や「契約条項に資材・機材の価格上昇時の協議を織り込んでいる」(建設)といった声があった。

一方、「資源高騰の影響を簡単にお客さまへの価格に転嫁しない」として、自動車メーカーを中心に、コストダウンに優先的に取り組む姿勢もみられた。

行動制限、半数が見直し要望

アンケートでは新型コロナウイルスの感染対策について、経済との両立のあり方についても複数回答で聞いた。今後も感染が広がる可能性はあるが、ウイルスの毒性や感染力が今と変わらないと仮定した場合、これまで政府が実施していた「県境をまたいだ移動の自粛要請」は47・9%の企業が、「外出自粛の要請」は47・1%がやめるか縮小した方がよいと回答した。

行動制限については、厳格な対策をとったことで、世界に比べて経済回復で後れをとっていることへの危機感が目立つ。食品大手は「このままでは日本は世界の成長に取り残されてしまう」と指摘する。

「コロナ鎖国」などと揶揄(やゆ)された水際対策についても、「日本のイメージ悪化の可能性がある」(電機)と42・9%の企業が、やめるか縮小を求めた。

一方、テレワーク率については、3月に蔓延(まんえん)防止等重点措置が解除された前後で比較して、38・7%が低下したとしたが、58・8%の企業は変わらないとしており、政府の対策にかかわらず、テレワークが新たな日常として定着していることがうかがえた。

【アンケート回答企業】

IHI▽曙ブレーキ工業▽旭化成▽アサヒグループホールディングス▽味の素▽イオン▽出光興産▽伊藤忠商事▽ANAホールディングス▽SMBC日興証券▽NEC▽NTT▽ENEOSホールディングス▽MS&ADインシュアランスグループホールディングス▽大阪ガス▽オリックス▽花王▽鹿島▽川崎重工業▽関西電力▽キッコーマン▽キヤノン▽九州電力▽京セラ▽キリンホールディングス▽クボタ▽KDDI▽神戸製鋼所▽コスモエネルギーホールディングス▽コマツ▽コロワイド▽サッポロホールディングス▽サントリーホールディングス▽JR東海▽JR西日本▽JR東日本▽JFEホールディングス▽JTB▽Jパワー(電源開発)▽J・フロントリテイリング▽資生堂▽清水建設▽シャープ▽商船三井▽スズキ▽住友化学▽住友商事▽住友生命保険▽セイコーエプソン▽西武ホールディングス▽積水ハウス▽セコム▽セブン&アイ・ホールディングス▽ゼンショーホールディングス▽双日▽ソフトバンクグループ▽SOMPOホールディングス▽第一生命ホールディングス▽ダイキン工業▽大成建設▽大和証券グループ本社▽大和ハウス工業▽高島屋▽武田薬品工業▽中部電力▽T&Dホールディングス▽TDK▽ディー・エヌ・エー▽DMG森精機▽帝人▽東京海上ホールディングス▽東京ガス▽東芝▽東レ▽トヨタ自動車▽豊田通商▽日産自動車▽NIPPON EXPRESSホールディングス▽日本航空▽日本製鉄▽日本生命保険▽日本たばこ産業▽日本マクドナルドホールディングス▽日本郵船▽任天堂▽野村ホールディングス▽パソナグループ▽パナソニックホールディングス▽ファーストリテイリング▽ファミリーマート▽富士通▽富士フイルムホールディングス▽ブリヂストン▽マツダ▽丸紅▽みずほフィナンシャルグループ▽三井住友トラスト・ホールディングス▽三井住友フィナンシャルグループ▽三井物産▽三井不動産▽三越伊勢丹ホールディングス▽三菱ケミカルホールディングス▽三菱地所▽三菱自動車▽三菱重工業▽三菱商事▽三菱電機▽三菱UFJフィナンシャル・グループ▽明治安田生命保険▽メルカリ▽ヤクルト本社▽ヤマトホールディングス▽ヤマハ発動機▽吉野家ホールディングス▽楽天グループ▽リクルートホールディングス▽りそなホールディングス▽ローソン▽ロート製薬(五十音順)

 


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