アーティスティックスイミング(AS)・日本選手権第2日(2日、東京辰巳国際水泳場)史上最年少の14歳でA代表入りした比嘉もえ(AS広島)が、デュエット・テクニカルルーティン(TR)と、チームTRで代表デビューした。オープン参加したデュエットTRでは、吉田萌(めぐむ、26)=ザ・クラブピア88=とのペアで、90・8857点をマークし、大器の片鱗(へんりん)を見せた。
すらりと伸びた手足が際立った。史上最年少の14歳でA代表入りした比嘉が、午前のチームTR、午後のデュエットTRの2種目で代表デビュー。圧倒的な存在感を見せた。
「緊張していたけど、久しぶりの試合でワクワクしていた。(デュエットの)後半でばててしまったのが課題です」
171センチの長身を生かしたダイナミックな動きが持ち味だ。チームTRを終えてから、約3時間半後のデュエットTR。高さのある足技や正確なエレメンツ(規定要素)を披露したが、ハードスケジュールが響き、終盤まで体力が持たなかった。それでもペアを組む東京五輪代表の吉田が「私は(デビュー戦で)ガチガチだった。14歳なのにすごい」と堂々とした姿に舌を巻いた。
2021年11月の選考会で代表入り。当初はチーム要員だったが、デュエットに選ばれていた選手のけがもあり、比嘉がデュエットにも起用された。一度注意されたことをすぐに修正できる器用さと、元プロ野球広島の内野手だった父、寿光さん(41)譲りの身体能力の高さで、代表入りして5カ月で上達。
1988年ソウル五輪銅メダリストで、会場で演技を見守った小谷実可子氏(55)は「(数年前から)この子の時代が来たら楽しみだと思っていた。スター選手が渇望されているASで、華のある選手がついに登場した」と絶賛した。
昨夏の東京五輪ではデュエット、チームともに4位に終わった。6月の世界選手権(ブダペスト)へ。「メダル獲得が目標。年齢は関係ない。中学生でもできることを見せつけたい」。2024年パリ五輪の星と期待される比嘉が「マーメイドジャパン」に新風を吹き込む。(角かずみ)