ライナー性の当たりはぐんぐん伸び、2本ともスタンドに突き刺さった。オリックスの吉田正が30日の西武戦で、六、八回に2打席連続本塁打。「自分の放物線だった。ほしい場面で打ててうれしい」と充実した表情で話した。
1-1の六回は西武先発の隅田のストレートをたたき、右翼席への3号勝ち越し弾。再び同点で迎えた八回1死からは平井のスライダーを捉え、バックスクリーン右への4号決勝弾。今季初アーチを放った4月17日の西武戦からの12試合で、38打数19安打16打点と手がつけられない。2割2分だった打率は瞬く間に3割3分まで跳ね上がった。
この日の2発はいずれもファーストスイング。2年連続で首位打者に輝いた球界の主砲は「一球で仕留められている」と絶好調の要因を語る。ここにきて感覚と実際のスイングが合致してきたようだ。
勝利投手となったのは3番手の近藤。2年目の2017年から3年連続で50試合以上に登板したが、20年に右肘を痛めてオフに手術。育成選手としてリハビリを続け、4月24日に支配下選手に復帰したばかりだった。
近藤はお立ち台で「正尚(吉田)のおかげ」と感謝しきり。同期入団の苦労人に3年ぶりの勝利をプレゼントした吉田正は「苦しい思いはその人にしか分からない。戻ってきてくれたのは大きい」とうなずいた。
チームは3月25日の開幕戦に勝利して以来の貯金1で、新型コロナウイルス感染による離脱者が相次いだ4月を終えた。吉田正は「焦らず戦っていく」と前を見据えた。(鮫島敬三)