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キャスター、タレント ホラン千秋『ミッドナイト・ライブラリー』 幸せを最大限感じるために

産経ニュース
『ミッドナイト・ライブラリー』マット・ヘイグ著、浅倉卓弥訳(ハーパーコリンズ・ジャパン)
『ミッドナイト・ライブラリー』マット・ヘイグ著、浅倉卓弥訳(ハーパーコリンズ・ジャパン)

『ミッドナイト・ライブラリー』マット・ヘイグ著、浅倉卓弥訳(ハーパーコリンズ・ジャパン・1980円)

世界43カ国で刊行され、ベストセラーリストをにぎわしている英国発の小説。幻想的な物語の中にとても大きなテーマが描き込まれている。

英国の街、ベッドフォードに暮らす主人公の女性・ノーラは35歳。母を亡くしたうえに、飼い猫に死なれ、勤め先も突然解雇され、絶望のどん底にいる。ある真夜中、人生に疲れ果てて命を絶つ決意をしたノーラの前に、不思議な図書館が現れる。司書を務めるエルム夫人いわく、そこは生と死のはざまにある「真夜中の図書館」。書架に並んだ無数の本にはそれぞれ、ノーラが選び取らなかった、あり得たかもしれない別の人生がつづられていた。婚約破棄しなかったら、得意な水泳をやめなかったら…。エルム夫人に、自らの後悔を打ち明けるノーラは、人生の節々で別の選択を下した先に待っていたはずの風景へと誘われていく。

エルム夫人がノーラに語る「大事なのはあなたが何を見ているかではない、何が見えているのかだ」という言葉が印象深い。「見る」行為には主観が伴う。だから、出来事の悪い点ばかりを結び付けて落ち込んでしまうことはよくある。でも、一歩引いて同じ出来事を眺めたら、良い面にも目が行って、全く違った景色が浮かび上がるかもしれない。ここには、想像力を働かせること、そして目の前にある幸せを最大限に感じることの大切さが描かれている。

どんな道を選んでも後悔はついて回るもの。それに人生が他者とのかかわり合いである以上、自分の力でコントロールできない領域は残る。そんな不確かさの中にあるきらめきを、この物語は教えてくれる。さて、ノーラが最後にどんな決断を下すのか。ぜひ本を読んで味わってほしい。

『いい人でいる必要なんてない』ナダル著(KADOKAWA)

『いい人でいる必要なんてない』ナダル著(KADOKAWA・1540円)

人気お笑い芸人によるエッセー。まじめだった小学生時代のことから、「クズ」と呼ばれるキャラクターを演じるようになるまで、自らの半生をつづっている。新生活が始まり、いろんな悩みごとが出てくる春。所々でくすりと笑えるこの本を読んでいると、あまり身構えずにもっと気楽に生きていていいんだ、と思えてくる。

ホラン千秋さん

ほらん・ちあき〉 昭和63年、東京都生まれ。青山学院大学英米文学科卒。TBS系報道番組「Nスタ」、NHK総合「SONGS OF TOKYO」などに出演中。

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