「バッテリーはエンジンですから」と言われても、意味不明かもしれない。でも、電気自動車(EV)に乗っている人は、きっと納得。私も力強く相槌を打っていた。
EVユーザーが新潟県三条市に集まった「EVオートキャンプ実証トライアル」に、初代日産リーフのチーフデザイナーを務めた井上眞人さんが参加していて、いろいろ話を聞かせてもらった。その中で出てきた言葉だ。
EVの走行用バッテリーは、内燃車でいう燃料タンク、と普通は考える。私も最初はそう思っていたが、じつはバッテリー容量や充電効率、あるいは制御システムが、出力や航続距離に直結する。その意味ではむしろエンジンに近い。バッテリーはEVの中核技術なのだ。ところが……。
「いまバッテリーは中国と韓国のメーカーが世界シェアの60%を占めていて、さらに莫大な投資をして性能アップと原価ダウンに取り組んでいる。バッテリーを海外から買っていては日本の自動車メーカーはいつまでも主導権を握れない」
井上さんの手がけた初代リーフは2010年に発売されると「ワールドカー・オブ・ザ・イヤー」に輝き、前年に発売された三菱「i―MiEV」とともに、EV時代の先駆けとなった。モデルチェンジして現在も販売中のリーフは日本で最も売れているEVで、キャンプにも2台参加。だが、早々に量産EVに着手していたはずの日本が、EVシフトでは遅れを取る。