北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU Ⅰ(カズ・ワン)」の遭難事故で、運航会社「知床遊覧船」(斜里町)の社長が、荒れた海への出港判断について「私はいけると思った」と釈明していたことが分かった。11人の死亡が確認され、残る15人の捜索が続くが、第1管区海上保安本部(小樽)は業務上過失致死や業務上過失往来危険の疑いで立件も視野に入れる。どんな責任を問われる可能性があるのか。
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事故があった23日は 強風注意報や波浪注意報が出ていて、地元漁師は出港を見合わせた。カズ・ワンの豊田徳幸船長(54)は出港前、複数の知人から「やめておけ」と忠告されていた。
行方不明者の家族によると、社長は「私はいけると思った」と述べた。家族側から「どうして引き返さなかったんだ」と問い詰められると「はい、すみませんでした」と謝ったという。
「船長ら乗組員の刑事責任を問われる可能性はかなりある」と指摘するのは、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士。
「業務上過失致死傷罪の場合5年以下の懲役もしくは禁錮、100万円以下の罰金で、遺族との間で示談が成立しない限り、実刑になる可能性もある」と指摘する。
2012年に群馬県藤岡市の関越道で高速ツアーバスの乗客7人が死亡した事故では、運転手が自動車運転過失致死罪に問われ、懲役9年6月、罰金200万円が確定した。