高血圧を放置していると動脈硬化が進み、やがて脳や心臓、腎臓などの難治性の病気になる。医療機関でこうした注意を何度も聞かされている人は少なくないだろう。
高血圧(本態性高血圧)の原因は、食生活や運動不足、ストレスなど複合的だと言われているが、それらの中でも塩分の過剰摂取は問題だと考えられている。県民の塩分摂取量がもともと高かった長野県が、数十年単位で減塩運動を推進した結果、長寿県と呼ばれるようになったことでも、減塩の健康効果は明らかだ。
とはいえ、毎日の生活の中で減塩を実行するのはなかなか大変なこと。ラーメンのスープを残したり、味噌汁は1日1杯にしたり、減塩調味料を使ったり、出汁を多くとる・スパイスや薬味を多くとることで味の満足度を上げたりするなど、細かなことを食事の都度気をつけなければならない。何よりも、美味しくないと感じる食事を続けることは、かなり苦痛だ。
それらの問題を、もしかしたら解決してくれそうなデバイスが開発された。キリンHDと明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明教授=顔写真=の研究室は、電気刺激波形と箸(はし)型デバイスを開発。減塩の食生活を送る人を対象にした臨床試験で、この箸型デバイスを用いると、減塩食を食べたときに感じる塩味が1・5倍程度増強されることを確認した。