巨人の新外国人、マット・シューメーカー投手(35)が23日、中日5回戦(バンテリンドーム)に先発し、2安打無四球で来日初勝利を完封で飾った。米大リーグのエンゼルス時代に大谷翔平投手(27)と同僚だったメジャー通算46勝右腕が、七回2死まで一人の走者も許さない快投。今季チーム初完封で3-0の勝利に貢献し、今季2度目の6連勝に導いた。
信頼に応えたい一心だった。七回終了後。ベンチで続投の意思を首脳陣から問われたシューメーカーは、力強く言い切った。
「I can」
この回の2死でA・マルティネスに初安打を許し、一人の走者も出さない完全投球が途切れていた。それでも腹をくくり、2安打無四球で今季チーム初の完封勝利。122球の熱投だった。
「選手冥利に尽きます。みんなが一つの絵を完成させた」
低めへの制球がさえた。左足を高く上げるフォームから得意のスプリットを沈め、打者に自分のスイングをさせない。直球の最速は148キロ。スライダーで横の揺さぶりも加えて8三振を奪った。
アウトを重ねるごとに、波紋のように観衆の拍手が広がった。3万650人の脳裏には、完全試合で強烈なインパクトを残したばかりのロッテ・佐々木朗に続く偉業が浮かんでいた。原監督も「夢のようなことが(起きそう)というぐらいね。無四球はすごく価値がある」と称賛した。
もっとも、メジャー通算46勝の35歳は冷静だった。初安打を許した後も、淡々とした表情と小気味いいテンポは変わらない。六回には右前打で出塁して先制のホームを踏み、鮮やかに来日初勝利を飾った。
2018年にエンゼルスで大谷とプレーし、日本の文化や野球の特徴を学んだ。「どういう場面で、どういう球種を使うとか、いろいろな話をした」。この日さえわたったスプリットについても意見を交換。巨人入りを電話で報告すると「日本で楽しんできて」と背中を押された。
首位を快走するチームを6連勝に導いた。「優勝が目標。ジャイアンツファンは紳士に応援してくれてうれしい」。頼もしい助っ人が、G党の心をがっちりとつかんだ。(鈴木智紘)
★データBOX
❶巨人の新外国人・シューメーカーが来日初勝利を完封で飾った。来日初勝利が完封勝利だったのは、2015年3月28日の広島・ジョンソン(被安打1の準完全試合、対ヤクルト)以来7年ぶり。
❷2リーグ制(1950年)以降、巨人で来日初勝利が完封だったのは、1996年4月17日のガルベス(被安打5、対中日)以来26年ぶり3人目。被安打2以下だったのは、85年4月26日のカムストック(被安打1、対中日)以来37年ぶり2人目。無四死球完封は初めて。