韓国の尹錫悦次期政権で外相候補に指名されている朴振氏が、慰安婦問題をめぐる2015年の日韓合意について「公式合意だ」と発言した。
次期政権の代表団が24日に訪日するのを前に、文在寅政権下で極度に悪化した日韓関係の早期改善を目指す意思を示したものとも受け取れる。
日本側にも一部で歓迎されたが、「最終的かつ不可逆的な解決」と明記された日韓合意は国家間の約束であり、政権交代の有無にかかわらず、約束を守ることは至極当然の行動である。
日韓合意に否定的だった文政権が、いかに国際社会の常識に照らして異質で異様だったかを示すにすぎない。
文政権は、朴槿恵前政権時の日韓合意では「慰安婦問題は解決できない」とし、日本政府の拠出金で設立された財団を一方的に解散させた。一方で昨年1月、日本政府に元慰安婦の女性らへの賠償を命じた判決には一転して「困惑している」と語り、「両国間の公式的な合意である事実は認める」と述べた。
文氏も言葉では「公式合意」を認めていたのだ。それでも判決に対処せず、問題を放置し続けた。日本に対しても原告に対しても、極めて不誠実な対応である。大切なのは言葉ではなく行動である。言葉だけで問題の放置が続けば、文政権と何ら変わらない。
こうした経緯を踏まえれば、韓国の次期政権が取るべき行動は明確である。日韓合意に反対し続ける元慰安婦支援団体などに合意を受けいれさせ、政権の責任で問題を決着させることである。
支援団体や文政権の与党「共に民主党」の関係者は早速、今回の訪日団メンバーに韓国側の実務責任者として、日韓合意に関わった韓国外務省の元東北アジア局長、李相徳氏が含まれていることに反発を示した。
「日本通」として知られる李氏は、岸田文雄首相の外相当時、日韓合意の交渉にともにあたった人物だ。韓国の外交関係者は、文政権や与党から反発があることを承知で李氏を訪日団入りさせたことに「意味がある」と指摘し、尹氏が問題解決に強い決意を抱いていると解説する。
訪日団は28日までの滞在中、政財界の関係者と協議を行う。これを懸案解決への一歩とできるか。ボールは韓国側にある。