先日亡くなった藤子不二雄(A) さん追悼の思いを込め、藤子さんたちがマンガ家になるきっかけになった雑誌の調査を取り上げよう。
「今年85歳になる祖父に代わっての依頼です。わが家は父親の代に引っ越すまでは、ずっと東京・神田の万世橋あたりで化学薬品関係の商売をしていたそうです。祖父が小学生時代に、外堀通りと靖国通りが交差する淡路町の路上で、子ども向けの月刊誌を買ってもらったことがあったらしいのです。それが、このコーナーにもしばしば出てくる『漫画少年』ではないか、調べてほしいと言うのです。お正月というのに売っていたのはまだ子どもで、『闇市の露店とは違う雰囲気だった』と言うのですが」 (江戸っ子)
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月刊誌『漫画少年』は、手塚治虫が雑誌での出世作『ジャングル大帝』を連載し、手塚を慕う藤子たち若者たちがマンガ家を目指した、いわば戦後マンガの黎明(れいめい)期を支えた雑誌。発行元の学童社は、文京区弓町時代が有名で、文京ふるさと歴史館でも2009年に特別展『実録!〝漫画少年誌〟―昭和の名編集者・加藤謙一伝―』を開催しているほどだ。弓町のあとは、同じ文京区の後楽園にあった満州会館(いまは日中友好会館)に移り、そこで雑誌と会社の歴史を閉じている。