(セ・リーグ、巨人8-4広島、6回戦、巨人4勝2敗、21日、東京D)直球、直球、また直球-。ドラフト1位で昨季入団した巨人・平内龍太投手(23)が、力でねじ伏せた。2点リードの五回から2番手で登板し、150キロ超の速球で押して2回を打者6人で料理。今季球団5人目となる初勝利を飾り、お立ち台で相好を崩した。
「支えてくれた両親に報告したいです。『勝ったよ』と」
亜大からプロの門をたたいた1年目は、即戦力の期待に応えられなかった。1軍での登板は3試合、計5回で防御率14・40。オフは尻回りを鍛え、身長185センチで95キロだった体重を100キロまで増やした。丸太のように太い脚から速球を生み出し、この日は坂倉ら好打者を球威で圧倒した。
逆境を乗り越えてきた野球人生だ。神戸国際大付高時代はドラフトの指名漏れを経験。大学時代は故障が相次ぎ、4年を迎える春に肘にメスを入れた。「もう投げたくない」。折れかけた心を奮い立たせるべく、入院期間には野村克也氏の著書を手に取り、挫折からはい上がった一流の思考法を吸収した。
チームは20年のドラフト1位・堀田が先発で4失点したものの、平内から畠(17年2位)、鍬原(18年1位)と歴代の上位指名投手が無失点でつなぎ4連勝。2位とのゲーム差を3に広げた。「(実力は)まだまだ一番下。一日一日が勝負」と平内。背番号11のプロ生活は、ここで始まる。(鈴木智紘)