肺がんのため昨年11月に死去した作詞家、喜多條忠(きたじょう・まこと)さん(享年74)を偲び送る会が22日、東京・平河町の海運クラブで営まれた。芸能界やレコード業界などから約500人が参列して献花。晩年まで多くの人の心を癒す歌を作り続け、競艇などギャンブルや女性を愛してやまない〝ちょい悪おやじ〟としても親しまれた故人を偲んだ。
早大時代の彼女との同棲生活を題材に作詞した「神田川」など、手がけた楽曲は700以上。発起人の1人で歌手、南こうせつ(73)はこの日、かぐや姫として歌って大ヒットした同曲をギター弾き語りで五木ひろし(74)とデュオで情感豊かに歌い上げた。
遺作となった「獨(ひと)り酒」を昨年8月に発売した石川さゆり(64)が弔辞を読み、「昨年5月に歌をお願いしたとき、喜多條さんから『コロナ禍で居酒屋も行けない。いっそ酒の歌を作りましょう』と言われてできた歌です」と感謝。日本作詞家協会の石原信一会長が実行委員長を務めた。
妻の喜多條輝美(てるみ)さん(68)が喪主を務め「喜多條はわがままで面倒くさい人でしたが、愛情深く楽しい人でもありました。時々は思い出して、愛のある悪口でも言ってあげてください」とあいさつし、会場をなごませた。