蔡英文総統率いる台湾が近く、最大射程1200キロの巡航ミサイルの量産を開始することが分かった。産経新聞が22日朝刊で報じた。台湾本土から発射した場合、中国最大の経済都市、上海も射程に収める。「ロシアによるウクライナ侵攻は、台湾有事や日本有事に連動する」との見方もあるなか、台湾は現実的な対中抑止力を強化する。
台湾が量産を開始するのは、地上発射型巡航ミサイル「雄昇」(射程1000~1200キロ)。弾頭は「高性能爆薬型」と、より広範囲を破壊する「集束型」の2種類が搭載可能で、中国軍の指揮所や滑走路などの軍事施設、より奥地にある巡航ミサイル基地なども攻撃できるという。
台湾軍は現在、台湾海峡沿岸部の中国軍部隊を狙った巡航ミサイル「雄風2E」(同約600キロ)を配備している。
「雄昇」は射程を延ばしただけでなく、攻撃目標への通過地点を設定できるため、相手の防空網を突破できる能力を向上させた。昨年11月、蔡政権が立法院(国会に相当)に提出した2022~26年度の「海空戦力向上特別予算」で、「雄昇」は項目だけが記載されていた。