岩手県警は20日、久慈署の新庁舎での業務を5月から開始すると発表した。新庁舎は、県が3月に公表した太平洋側で大地震が起きた場合の津波浸水想定で、浸水域に入ることが判明。「想定外」(担当者)の事態だが、災害の規模によっては駐在所に警察署の機能を移管して対応すると決めた。
久慈署は築50年に近く、老朽化。県警は平成27年度に、当時のハザードマップで浸水想定の範囲外だった土地から新庁舎の建設用地を選定した。鉄筋コンクリート造りの4階建て(高さ17メートル)で総事業費は約35億円。今年3月公表の想定で、この地域では最大で5メートル以上~10メートル未満の津波が到達する可能性があるとされた。署では今後、車両や装備を退避させる訓練を実施する。
県警の森下元雄本部長は20日の定例会見で「久慈署を含め、沿岸部は想定を超える津波が襲来する。被災するという前提で備えることに尽きる」と述べた。