東京電力福島第1原発事故で福島県から埼玉県などへ避難した住民ら96人が、国と東電に計11億円の損害賠償を求めた訴訟で、さいたま地裁(岡部純子裁判長)は20日、東電に賠償を命じる判決を言い渡した。国への請求は棄却した。
弁護団によると、原告は帰還困難区域内に住んでいた17世帯51人と、自主避難した12世帯45人。国と東電双方に賠償を求める訴訟は各地で起こされており、一部は最高裁で東電の敗訴が確定。国の責任については地裁、高裁ともに判断が分かれており、最高裁が近く、統一判断を示す見通しとなっている。
原告側は訴訟で、国は事故の危険性を把握することができたが、国策として原発を推進し、東電への規制で事故を予防する義務を怠ったと指摘。東電に対しては、地域住民の健康や生命への被害を防ぐ注意義務があったのに十分な対策を取らず事故を回避できなかったとした。その上で、事故の影響で避難生活を強いられ、職を失うなど精神的苦痛を受けたと訴え、慰謝料などの損害賠償を求めた。