もはや遠い国での話ではなくなった。日本もまたロシアの侵攻の対象になろうとしている。
ロシア通信は14日、ロシア太平洋艦隊の潜水艦2隻が、日本海で巡航ミサイル「カリブル」の発射演習を行ったと伝えた。ミサイルは敵の船を模した海上の標的に命中したとしている。
ロシアの左派政党「公正ロシア」のセルゲイ・ミロノフ党首(ロシア下院副議長)は1日、同党のサイトで「一部の専門家によると、ロシアは北海道にすべての権利を有している」との見解を発表した。同党は政権に従順な「体制内野党」とされる。
いずれも単なる脅しとは思えない。
ウラジーミル・プーチン大統領は昨年7月、「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」と題する論文を発表した。ロシア人とウクライナ人は、ベラルーシ人とともに、歴史的に三位一体のロシア民族として知られている民族の1つであると主張し、ウクライナの現代の国境の正当性に公然と疑問を投げかけた。
専門家は誰も、西側に近づくウクライナへの脅しであり、軍事侵攻はあり得ないとした。だが、プーチン氏は論文の内容を実行した。
第2次世界大戦の末期、ソ連(現ロシア)は日本との中立条約を一方的に破棄して、まずは満州に侵攻した。次いで南樺太でも日本領への攻撃を始めた。当時のソ連の最高指導者スターリンは英米ソによるヤルタ会談で秘密協定を結び、日本参戦への見返りに南樺太と千島列島全島を得るとの了承を得ていた。「回復すべき失地」と考えていた。