通勤、通学の〝骨〟支え続け…秋葉原駅のミルクスタンド

産経ニュース
「ミルクショップ酪」の店先は賑やかだ。商品の特徴を伝える宣伝札が、のれんのように垂れ下がる=11日、東京都千代田区のJR秋葉原駅(鴨志田拓海撮影)
「ミルクショップ酪」の店先は賑やかだ。商品の特徴を伝える宣伝札が、のれんのように垂れ下がる=11日、東京都千代田区のJR秋葉原駅(鴨志田拓海撮影)

JR秋葉原駅(東京都千代田区)の6番線、総武線ホームの中ほどに、今では珍しい売店がある。「ミルクショップ酪」。牛乳や乳飲料など約50種類と、菓子パンなどを売る。70年以上にわたって通勤、通学の人々を見守り、骨太にしてきた。


「濃くておいしい」

「今日はこれ‼」

ミルクスタンドの店先に、牛乳などの宣伝札がずらり、のれんのように垂れ下がる。電車の乗降客がつかの間、札を眺め、どれを買おうと選んでいく。

「これと…コーヒー牛乳」。店頭のあんパンを手に取った中年男性が店の奥にそう声をかけ、交通系ICカードで支払った。

すると、販売員の樋口和枝さん(50)が、奥のケースからコーヒー牛乳の瓶を取り出し、ラベルとプラスチックの蓋を手早く外し、瓶を男性に差し出した。無言で受け取った男性は、店の脇でマスクを顎まで下げ、あんパンにかじりつき、最後はコーヒー牛乳で流した。「どうも」。空いた瓶をカウンターに置き、乗降する人混みに消えていった。

行き交う人を見守って

ミルクスタンドで扱う牛乳のほとんどは瓶入りのもので、持ち帰りは禁止。店の両脇にある小さな台を食卓代わりに、立ち食いならぬ「立ち飲み」をしていく。持ち帰りを禁じる理由は、瓶は回収して再利用に回すのと、瓶を落とせば割れて危険が伴うためだ。

客の半数近くが常連だ。朝の通勤時間帯や、帰宅時間帯に決まって立ち寄る人が多いという。サラリーマンが中心だが、取材中も制服を着た学生のグループや、スマートフォンで写真を撮る若い女性の姿があった。

ミルクスタンドを運営する大沢牛乳は、秋葉原駅の6番線以外にも同駅5番線ホームと御徒町駅の改札外の計3カ所に出店している。同社の駅売りの歴史は終戦前後にさかのぼり、社長の大沢一彦さん(75)によると、書類上は昭和25年に創業したようにみえるが、「実際は、もっと前からやってたんじゃないかな」という。

かつては大沢牛乳以外にも牛乳の駅売りをやる業者は多かった。山手線沿線や首都圏の大きな駅には、ミルクスタンドがあったという。ただ、利益率が低いことなどから次々と数を減らした。

現在は運搬にエレベーターを使っているが、「昔は40キロのケースを2つ3つ、兄ちゃんが肩から提げて階段を上っていた」(大沢社長)。秋葉原駅の5、6番線は建物の6階の高さに相当し、かなりの重労働だった。

スタンドに並ぶ数ある商品の中で、社長のおすすめを聞いた。フルヤ乳業(千葉)の「房の恵み」(180ミリリットル、150円)だという。一般的な牛乳の殺菌温度は120~130度(2~3秒)だが、房の恵みは75度で15秒間かけて殺菌する。「出回ってる多くの牛乳は牛乳を焦がした味。房の恵みは殺菌温度が低いので本来の味が残る。さっぱりして、夏でもおいしいんだよ」と語った。

農林水産省は、生乳の廃棄を防ぐため、牛乳やヨーグルトなどをいつもより1つ多く購入してもらう「プラスワンプロジェクト」を展開し、特に大型連休にかけて消費を呼びかけている。4~5月は生乳の生産がピークになることに加え、新型コロナウイルス禍で外食や観光などの需要が落ち込み、生乳が余剰になる可能性があるという。特に連休中は、国内の牛乳消費量の1割を占める学校給食が休みになり、さらに消費量が落ちる。同省牛乳乳製品課の担当者は「栄養豊富な牛乳をたくさん飲んでほしい」と呼びかけた。(橘川玲奈)

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