朝晴れエッセー

爪にしあわせを灯す・4月18日

産経ニュース

今から8年前のこと。

私の69歳の誕生日に、おしゃれ自慢の孫娘が真っ赤なマニキュアをプレゼントしてくれた。

「えーッ‼ こんな赤いの、おかしくない?」と言うと、「平気平気、もうすぐ夏なンだからこのくらい赤いのが良いンだよ」と、早速私の手を取りマニキュアを塗りはじめた。

血管がボコボコに浮き立ち、シワクチャな節くれだった私の手の爪先に、あっという間に明るいイルミネーションが灯(とも)った。

そして、去年のクリスマス。息子夫婦からのギフトにローズ色のマニキュアがあった。

「うわあー、すてきな色‼」

私はすぐ手をゴシゴシ洗い、保湿クリームをたっぷり塗って爪を塗り始めると、5歳の孫娘が、「おばあちゃんの爪、きれいだねェ」とスキップしながら喜んでくれた。

ろくたまおしゃれもせず、化粧もしない私だけど、「お母さんはいつもきれいなマニキュアをしているから、ローズ色を選んでみました。喜寿のお祝いです」。

誰が見ても、正真正銘おばあさんの私の手。人前に出すのをためらうこともあるが、家族の温かい気持ちのマニキュアを塗ったら、「どう? きれいでしょう?」と両手を広げて自慢したくなる。


塩野目栄子(77) 神奈川県藤沢市

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