話の肖像画

谷垣禎一(17)「自助」は強者の論理ではない

産経ニュース
菅直人元首相(右端)らと月例経済報告関係閣僚会議に臨む与謝野馨元経済財政担当相(右から2人目)=平成23年3月
菅直人元首相(右端)らと月例経済報告関係閣僚会議に臨む与謝野馨元経済財政担当相(右から2人目)=平成23年3月

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《平成22年1月、自民党は野党転落後初の党大会で、党の基本姿勢を示す新たな綱領を発表した。「常に進歩を目指す保守政党」としての再出発を誓い、政策の基本的考えに「自助自立する個人を尊重し、その条件を整えるとともに、共助・公助する仕組を充実」などと記した》


あの綱領は党再生に向けて立ち上げた「政権構想会議」で議論し、座長の伊吹文明元衆院議長が中心になって書いたものです。「自助・共助・公助」。これこそが保守政党の原点だと思います。菅義偉(すが・よしひで)前首相が令和2年9月の総裁選で引用して「政治家が自助を言うな、公助が先だ」と批判されましたが、自助の大切さは自分が障害者になってみてつくづく感じます。

われわれ障害者が公助を望むのは当然だけど「もう一回自分の体を動かすことができるのなら頑張りたい」という気持ちがないと、どうにもならないんですよね。それを強者の論理だと言われちゃたまらない。初めから「あなたがどう思おうと国は助けますからね」と公助を持ち出すのではなく、まずは頑張る人を後押しする仕組みがあってしかるべきだと思いますがね。


《平成22年春は党所属議員の離党が相次ぎ、7月の参院選を前に「第三極」の新党結成の動きが活発化した。政界随一の政策通で、財政再建派の急先鋒(せんぽう)だった与謝野馨元財務相も4月、離党届を提出し、新党「たちあがれ日本」に参加した》


私は与謝野さんにずいぶん指導を受けてきました。衆院議院運営委員会で一緒に仕事をしましたし、財政再建の考え方もほとんど同じ。麻布中学・高校の先輩でもあります。離党の約2カ月前には衆院予算委員会の質問に立ち、鳩山由紀夫元首相の偽装献金問題を「平成の脱税王」と厳しく追及して話題になりました。私も「いつも冷静な議論をする与謝野さんがよくあそこまで」と驚きました。

予算委での姿は、ある意味で決心の表れだったのでしょう。私の党運営に対する不満もあったのかもしれません。ただ、与謝野さんの能力を野党で生かすのは難しい。与謝野さんは、与党で腕を振るいたい人なのです。(5年に非自民連立の)細川護熙政権ができたときも、もう本当に気力を失ってしまって、「俳人」ならぬ「廃人・与謝野馨」なんていわれていたぐらい。私も心配になって、与謝野さんの奥さんに電話したら「自分の部屋で、ため息ばかりついています」と返ってきました。

自民党に離党届を出したときも、事前に私から電話していました。そうしたら与謝野さんは「今どこにいるの? 今から行くから」と、すぐに離党届を持って党本部に来たのです。慰留はしませんでした。与謝野さんの思考や行動のパターンはよくわかっていましたからね。


《与謝野さんはその後、たち日も離党し、23年1月発足の菅直人第2次改造内閣に経済財政担当相として入閣。社会保障・税の一体改革を主導した。一方、各種世論調査で次期首相候補の常連だった舛添要一元厚労相も自民党に離党届を提出し、「新党改革」を結成した》


党が元気なときならともかく、追い込まれているときに、辞めるかどうか迷っている人を放っておくのはよくないと思うのです。いつまでもぐずぐずせず、考え方をはっきり聞いて、けじめをつけてもらうことが大事だと考えていました。だから、そういう前兆がある人には私から電話をしていました。

舛添さんにも電話しましたが、彼は何度かけても出なかった。言伝(づ)てに「心静かに瞑想(めいそう)しておりますので電話に出られません」と聞きました。まあ、出なくてもいいですけど、「瞑想中」と言われてもね…。その点、与謝野さんは潔かった。自分の考えに忠実で、単刀直入。そういうところの所作に、それぞれの人柄が表れるものですね。(聞き手 豊田真由美)

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