(パ・リーグ、オリックス4ー3西武、3勝3敗、17日、京セラ)快音とともに白球は大きな弧を描いた。そのまま右中間2階席に着弾。この打球が見たかった。オリックス・吉田正が待望の今季初アーチ。勝利をたぐり寄せる同点弾でチームを3カードぶりの勝ち越しに導いた。
「『なんとか、いけー!』と思って走っていました。ギリギリでした。危なかったです」
お立ち台で照れ笑いを浮かべたが、スタンドインには十分な当たりだった。0─2の四回無死一塁。相手先発のエンスが投じた4球目、高め146キロ直球を思い切り振り抜いた。「少し詰まった」と振り返ったが、それまで無安打に封じられていたことを思えば、値千金の同点打。開幕71打席目でようやく主砲に一発が飛び出し、猛牛党は大きな拍手を送った。
2─2の五回には2死一、三塁で勝ち越し点を呼び込む二塁内野安打。目覚めの予感に、中嶋監督も「ホームランも大きいですし、本人もスッキリじゃないですけど、やっと(状態が)上がってくるんじゃないでしょうか」とうなずいた。
試合前時点で打率・220、7打点。2年連続で首位打者に輝いた実績からすれば、物足りなさすぎる数字だった。吉田正自身も試行錯誤。ロングティーを練習メニューに取り入れたり、打撃フォームもスタンス幅を変えるなど微調整。「まだまだ自分の納得のいく打撃ではない。修正しながらなんとか…というところですね」と説明した。
それでも一発が出ればガラッと変わるはず。「今やれるベストを尽くして、勝ちに貢献できるように」と力を込めた。チームは5割復帰まで、あと「2」。反撃開始のアーチとする。(西垣戸理大)