書評

『「戦後」が終わるとき 日本は外交の言葉を取りもどせるか』坂元一哉著 安倍政権、第一の遺産

産経ニュース
『「戦後」が終わるとき 日本は外交の言葉を取りもどせるか』
『「戦後」が終わるとき 日本は外交の言葉を取りもどせるか』

本書は産経新聞紙上で平成20年4月にスタートしたコラム「世界のかたち、日本のかたち」の初回分から今年1月掲載分まで計108本を、「時間順に並べて四つの章に分け」再録したものである。

「四つの章」は以下の通り。「政権交代前夜」「民主党政権時代」「安倍政権前期」「安倍政権後期」―つまり、第1次政権で安倍晋三首相が約1年の在任で辞職した翌年から、2度の政権交代を経て、「首相返り咲きを果たすとともに、大叔父にあたる佐藤栄作首相の在任記録を抜いた後に辞任するまでをカバーする」。著者は、本書タイトルの由来をこう明かす。

「私は後世の歴史家が日本の政治史を振り返ったときに、この間のいずれかの時点で、戦後という時代が終わったと評価するのではないかと考えている」

ならば、いつ、誰が「戦後」を終わらせたのか。「安倍前首相は『戦後を終わらせた首相』として歴史に名を残すだろう」。本来ならばタイトルは「『戦後』を終わらせた安倍総理」とでもなろう。事実、右の一節を引用した106本目のコラムの見出しは「戦後を終わらせた首相」。表紙カバーの折り返しにも「安倍政権第一の遺産、それは『戦後』を終わらせたことだ」とある。

著者は安倍政権で「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の構成員も務めた。当然のごとく、集団的自衛権を巡る記述も多い。

「私が希望するのは、『国民』だけでなく、『他国民』の生命や身体を武力攻撃から守るための必要最小限の実力行使も可能にする憲法解釈である」

個人的には「憲法改正、まず自衛隊明記から」と題したコラムにも強く膝を打った。

著者は恩師(高坂正堯)が遺稿論文で「日本外交には言葉の力が欠けているとして、その『病根』を二つ指摘」したと紹介。一つは日米同盟に関する「言い抜け、詭弁(きべん)の類」。もう一つは「過去の重い荷物」。それらが、戦後70年の「安倍談話」と「平和安全法制」により「ほぼ取り除かれた」と安倍政権を高く評価する。平成から令和へ。静かな筆致で激動の14年間が蘇る。読めば、きっと安倍政権への愛惜が募る。(中央公論新社・1870円)

評・潮匡人(評論家)

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