熊本、大分両県で計276人が犠牲になった熊本地震は16日、2度目の激震「本震」の発生から6年となった。「頑張って生活してるから安心して」。未明の発生時刻に現場を訪れた遺族らは、地震後に歩んできた日々と、亡き人に思いをはせた。
冷たい風が吹く熊本県南阿蘇村。阿蘇大橋崩落で犠牲になった大学生、大和晃(やまと・ひかる)さん=当時(22)=の両親らは発生時刻の午前1時25分に合わせて現地を訪れた。橋のたもとに花や温かいコーヒーを供え、暗闇を見つめた。
「6年前がつい最近のようだ」。父、卓也さん(63)がつぶやいた。「あの時の息子の苦しみを感じることができたら…」
南阿蘇村黒川地区では、東海大農学部の学生3人がアパートの倒壊で亡くなった。卒業生と在学生ら計約20人は、草が所々に生えるアパート跡地で静かに手を合わせた。
■熊本地震
平成28年4月14日午後9時26分、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード(M)6・5の「前震」が発生。16日午前1時25分にはM7・3の「本震」があった。熊本県益城(ましき)町で観測史上初めて震度7を2回記録した。建物倒壊などによる直接死は前震と本震で計50人。大分県を含め災害関連死は221人、後の豪雨災害の死者5人を含め、犠牲者は計276人に上った。住宅計約4万3千棟が全半壊した。