長崎市の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で16日、被爆者の体験記などを語り継ぐ定期朗読会が、新型コロナウイルス禍に伴う休止を経て約1年4カ月ぶりに再開された。「ついに三人の児を失った。今日は妻の火葬をせねばならない」「私は、一人ぼっちになりました」。ボランティアの男女らが、家族を亡くした人の日記や手記を感情込めて読み上げた。
多くの人に被爆地を訪れてもらおうと、今回は被爆遺構や慰霊碑がテーマ。児童約1300人が亡くなった長崎市の山里小に残る防空壕(ぼうくうごう)や、旧長崎医科大の門柱、浦上天主堂の鐘などの遺構を紹介後、それぞれにまつわる記録を朗読した。
「元気に二度分の弁当箱を提げて出て行った。あの朝の姿が永遠の別れになろうとは」と、被爆死した息子への思いをつづった母の日記や、大学の焼け跡で親友の遺骨を見つけた男性の手記などが次々と読み上げられた。