露軍撤退のキーウ 大学でオンライン授業再開

産経ニュース
オンラインで授業を行うオクサーナ・アサドチフ教授(左)と授業を受ける学生たち
オンラインで授業を行うオクサーナ・アサドチフ教授(左)と授業を受ける学生たち

ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウの大学で、侵攻後約1カ月半中断されていたオンライン授業が再開した。市街地は静けさを取り戻したが、再び攻撃されることへの不安や緊張感が続く。教員や学生の多くは避難先のインターネット環境を駆使して授業に臨み、奪われた学習機会を取り戻すべく意欲を燃やしている。(永井大輔)

現地時間13日午前8時半ごろ。キーウ国立大で日本語の通訳技術や教授法などを教えるオクサーナ・アサドチフ教授(43)の授業をのぞくと、流暢(りゅうちょう)な日本語が聞こえてきた。「皆さんは生卵を食べたことがありますか?」。教授の質問に対し、学生らは「私は焼いて食べます」「そもそも卵があまり好きではありません」などとそれぞれ日本語で応じた。

この日の授業は、日本語の語彙や文法、発音などを学ぶ理論科目で、十数人が出席。その後も5人ほどが実践科目の通訳技術の授業に残り、日本語で意見交換したり、日本語の音声を聞いてテキストに答えを書き込んだりしていた。

オクサーナ教授の授業は今月5日に再開され、毎週火曜と水曜に行われている。「学生たちはそれぞれ安全な場所に避難して授業に出席できている」とオクサーナ教授。ただ、避難先のネット環境によっては、うまくつながらず途切れてしまう学生もいるという。

「大学の授業が始まり、戦争を忘れて集中できる時間ができた。先生も宿題や出席を無理強いせず、自分のテンポで勉強させてくれるのでうれしい」

こう喜びを表したのは4年のマリヤ・ズビュックさん(21)。隣国ポーランドに避難しながら授業を受けており、「みんながいろいろな国で授業を受けているからちょっとだけ寂しい。キーウで顔を合わせて学べる日が早く来てほしい」と複雑な表情も浮かべた。

侵攻後もキーウに残った学生にとって、戦禍がもたらした心の負担は重い。キーウの自宅で家族とともに暮らす4年のオリガさん(21)は「ロシア軍の撤退後、街は静かになったが、まだ戦争が気になり、授業中もストレスを感じる」と漏らす。

それでも街ではスーパーマーケットやレストランが再開しつつあり、オリガさんは「自分の将来を考えることは大切。大学の再開で以前よりも頑張って学習したいと思えるようになっている」と前を向く。

出席者の大半は女性だった。オクサーナ教授は「言語学部はもともと、男子学生が少ない」とした上で、「必ずしも軍隊に行く必要はないが、男子学生には地域の自警団などに参加する人もいる。私の授業も、そういった理由で欠席する学生はいる」と打ち明ける。

オンライン授業は再開したが、課題も残る。再侵攻の懸念に加え、新型コロナウイルスの感染拡大も影響し、対面授業は再開の見通しが立っていない。

オクサーナ教授は「避難先から授業を行うことは悔しい」といい、近いうちに西部の避難先からキーウに戻ってオンライン授業に臨むつもりだ。「大学にみんなが集まって授業ができる日を夢見ている」。最後に声高に訴えた。

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