大阪商工会議所の鳥井信吾会頭(サントリーホールディングス副会長)は15日、就任後初の定例会見を開き、ロシア軍によるウクライナ侵攻や新型コロナウイルス禍で疲弊する中小企業の支援策を発表した。経営者向けの新規事業創出セミナーや経営相談、ウェブを活用した販路拡大支援などを行う。
鳥井氏は「事業者を支えるため、専門家チームも一体となり、調達先確保や資金調達など大商と事業者が一緒に走る『伴走支援』の仕組みを早急に整える」と強調した。
大商は3月中旬から、50人の経営指導員が企業側への直接訪問や電話によるヒアリング形式としては過去最大規模の調査を実施。経営状況や課題について約千社から回答を得た。今回の支援策は調査結果を踏まえて決定した。
鳥井氏は「飲食や宿泊業の売り上げは、コロナ前の水準まで回復していない。さらに円安で食材や日用品などが値上がりし、追い打ちをかけている状況だ」と語った。
調査では、ウクライナ侵攻の影響で原料調達が困難になっていることや、コロナ禍で海外との商談に支障が出ていることなどが課題として浮上。原材料価格の高騰が経営を圧迫している実情も明らかになった。
支援策として、若手経営者向けに新規事業創出のヒントを得るためのセミナー開催や、オンライン商談に関するサービス提供のほか、ビジネスの専門家との交流会、デジタル化を推進する相談会などを9月までに集中的に開く。