ベテラン記者コラム(281)

スポーツは無力なのか ウクライナ戦争で露呈された現実

サンスポ
山下泰裕氏と抱き合うロシアのプーチン大統領
山下泰裕氏と抱き合うロシアのプーチン大統領

ロシアのウクライナ侵攻で、国連が昨年末に採択した北京五輪・パラリンピック期間の「オリンピック休戦決議」はむげにされた。国際オリンピック委員会(IOC)など世界のスポーツ界がロシアとベラルーシの選手の出場を認めないなど対応したが、それで事態が好転するわけもない。スポーツは無力なのかと感じさせられている。

日本オリンピック委員会(JOC)と全日本柔道連盟の会長、山下泰裕氏は11日、自身のホームページで「ウクライナの人々、そして世界中の柔道を愛する方々へ」と題した声明を発表。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の名を挙げ、「(非人道的な)行為は柔道の精神、目的に完全に反するものです。全く容認することは出来ません」と非難した。

柔道家でもあるプーチン氏と交流があり、プーチン氏から「尊敬する日本人」とされる山下氏。それでも「プーチン氏に直接連絡を取れるわけではない」と肩を落とす。

柔道創始者の嘉納治五郎は修行の目的を人間修養とし、「精力善用、自他共栄」を唱えた。「本当の柔道家でありたいなら、(理想は)強さだけじゃなく『精力善用、自他共栄』に集約される」と山下氏。だがプーチン氏には理想論でしかないのか。山下氏は以前、こんな話もしていた。

2014年、ロシアでの柔道世界選手権で面談した際。山下氏が「安倍(晋三当時)首相は日露関係を劇的に改善させたいと思っています」と話すと、プーチン氏は「安倍が言っていることと日本がやっていることは違う」と一瞬、激怒の表情を見せたのだという。

同年のロシアによるクリミア半島併合で日本は欧米の対露経済制裁に同調していた。プーチン氏にすれば「政治に首を突っ込むな」という思いだったのだろうか。

「人生で初めて政治的役割を果たした。もう懲り懲りだと思った」と述懐した山下氏。今回の声明も「効果はなくとも出すべきと思った」と、状況を変える力がないことを逆説的に認めた。

第二次世界大戦では西竹一や沢村栄治ら才能あるアスリートが戦火に散った。終戦直前の1945年8月、日ソ中立条約を踏みにじって侵攻してきたソ連軍は略奪や暴行を繰り返し、拉致した日本人にシベリアで強制労働させて数万人を死に追いやった。そうした歴史を私たちは知っている。

同様の国家的犯罪がソ連の後裔であるロシアの手で行われている。そして2016年リオデジャネイロ五輪の体操男子個人総合で内村航平と金メダルを争ったオレグ・ベルニャエフのような有能なアスリートが母国・ウクライナを守るため入隊したという。悲しい現実の前に砂をかむような思いが続く。(只木信昭)

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