しかし、結局、自衛隊機が救出した邦人、協力者の数はわずかで、その原因が自衛隊法の限界にあることは明らかだった。
アフガンへの自衛隊派遣の根拠となったのは自衛隊法84条の4「在外邦人等の輸送」で、84条の3「在外邦人等の保護措置」ではなかった。
簡単に説明すると、84条の4では輸送の要件が、「安全が確保できること」および、「相手国の了承を得ていること」とされている。ところが、予想外の速さでタリバンが首都カブールを陥落させたため、自衛隊機派遣のときにはすでに「相手国」政府はなくなっていた。しかも、この法律では空港外で武器は使用できず、空港に向かう日本人が襲われても何もできないのだった。
安倍晋三政権時に、「安全保障関連法」の一部として追加された84条の3であれば、武器使用範囲が広がり、任務遂行を妨害する相手にも武器使用が可能となる。しかし、そのぶん前提条件が4より格段に厳しくなることから適用は見送られた。