一方、最近の岸田首相の行動で目立つのは、自民党幹部や派閥の領袖(りょうしゅう)との連日の会食だ。
1日の二階俊博前幹事長を皮切りに、10日は安倍晋三元首相、11日は麻生太郎副総裁、12日は高市早苗政調会長といった具合で、参院選に向け、内輪の意見を「聞く力」発揮か、と揶揄(やゆ)されている。
筆者はこの行動を批判する気はないが、国民への「語る力」の発揮もお忘れなく、とは申し上げたい。
もう1つ、改正自衛隊法の成立に際し、岸田首相と自民党幹部に「肝心なことをお忘れでは」と言いたい件がある。
思い出されるのは昨年の夏、アフガニスタンがイスラム原理主義勢力「タリバン」の手に落ちたときのことだ。海外での自国民救出に関する日本の大きな障害が露呈された。
アフガン情勢急変を受け、邦人のみならず、日本に協力する外国人の退避をも目的に自衛隊機派遣を決断したことは画期的だった。最終決断者は当時の菅義偉首相だが、岸信夫防衛相の力も大きかったと側聞する。