私と新聞

下村博文元文科相 思考力、判断力、想像力を養うツール

産経ニュース
新聞を読み比べる意義を話す下村博文元文部科学相(酒巻俊介撮影)
新聞を読み比べる意義を話す下村博文元文部科学相(酒巻俊介撮影)

文部科学相や自民党政調会長を歴任した下村博文衆院議員(67)は、9歳のときに父親を交通事故で亡くし、母子家庭で育ちました。18歳のときに新聞配達員として販売店の寮に住んで働きながら勉強をしました。複数の新聞を読み比べることで違いに驚き、多角的に物事を捉える視点を学んだそうです。ベテラン政治家となった現在も、複数の新聞を通して、日本や世界のニュースに目を光らせています。

私が9歳のときに、父が交通事故で亡くなりました。母子家庭、貧しい家庭で、なおかつ群馬県の山中の一番近い家まで500メートルほど離れていたところに住んでいたこともあり、新聞を読みたくても読めない子供時代でした。読めるようになったのは高校生になり、同じ群馬県の高崎市内に引っ越してからです。新聞を読むという行為に文化の薫りを感じた、という思い出があります。

当時はテレビ欄や運動面、地域面を好んで読んでいました。自分の生活や行動の範囲内のことに興味を持ったからです。新聞をきっかけに、政治や経済、社会全体のことに関心を持つようになったのは間違いありません。新聞が自分と社会をつなぐ窓口になっていました。

18歳になり、新聞配達を始めました。苦学生の象徴といわれますが、朝から晩まで働くのではなく、寮に住み、2食が付いて生活の保障をされながら給料をもらい、勉強ができました。いいアルバイトでした。

午前4時ごろに起きて、5時から7時ぐらいまで配達をしました。寮に戻ったら食事をして学校に行き、午後3時ごろから夕刊を配達し、6時過ぎぐらいに食事をする毎日です。月末には集金がありました。規則正しい生活をして、精神的にも肉体的にもタフになりました。

当時、他紙を配達している少年と、お互いに新聞を交換し合っていました。販売店に戻ってきて読み比べる。学生にとってはぜいたく極まりない話です。18歳のときに、産経新聞と朝日新聞ではこんなに違うのかと気付きました。一つの記事でも、いろいろな角度から取り上げている。多角的に物事を見るといういい経験になりました。

私は毎日、6つの新聞を読みます。1面から一通り目を通します。見出しや記事の大きさ、位置などで、目の感覚として時事における重要度が捉えやすい。重要だと考える記事、面白そうな記事をじっくり読みます。

国会の審議で、質問者が新聞記事のコピーに重要だと思うところに線を引いて資料として使うことがあります。新聞は客観的に物事が書かれているという前提があるから文句は出ません。

若い人は新聞を取らず、スマートフォンやタブレット端末を使い、SNS(会員制交流サイト)などインターネットを通じてニュース記事を読んでいる人が多いと思います。読む記事が自分の興味の範囲内にとどまったり、右から左に読み進めるだけで、中身は覚えていなかったりということがあるんじゃないでしょうか。

新聞は思考力や判断力、想像力を養う大切なツール(道具)だと思います。アナログ的かもしれないが、必要なところに線を引いて情報を頭に入れ、その背景には何があるのかなど、深く物事を考える。例えばロシアによるウクライナ侵攻に関しても、ただ、「ロシアはけしからん」というのではなく、なぜプーチン大統領はそこまでするのか、歴史的背景はどうなのか、情報を入れるだけでなく、自分なりに深掘りすることで、思考力や判断力がはぐくまれます。

今後の教育においては、暗記や記憶ではなく、思考力、判断力、想像力が本当の学力という形になっていきます。知識は正確なものがスマホにあるわけですから。「頭のいい人」という概念が変わってきます。新聞を読む子供が賢い子だと思います。

特に産経新聞には、国のあり方を考える国家観があり、政治、経済、社会を問わず、国家観を背景とした切り口で報じています。他紙と読み比べるとそれがよくわかります。産経の国家観を共有する、共有しないにかかわらず、読んでみて、国家観や主体性を養うことを期待したいですね。

しもむら・はくぶん 昭和29年、群馬県生まれ。早稲田大卒。東京都議を経て平成8年に衆院東京11区から出馬し初当選。官房副長官、文部科学相、自民党政調会長などを歴任した。早大在学時は政治サークル「雄弁会」の幹事長を務めた。学習塾経営の経験があり、教育改革がライフワーク。国内総生産(GDP)に代わる豊かさの指標である「GDW」(国内総幸福度・充実度)を唱えている。衆院当選9回の67歳。


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