小林繁伝

一難去ってまた一難…監督が辞意 虎番疾風録其の四(28)

産経ニュース
プ巨人戦を前に新幹線で東京に向かう阪神の田淵幸一(左上)上田次郎(左下)金田正泰監督(右から2人目)藤田平(右)=1973年10月
プ巨人戦を前に新幹線で東京に向かう阪神の田淵幸一(左上)上田次郎(左下)金田正泰監督(右から2人目)藤田平(右)=1973年10月

「江夏は出しません」という戸沢宣言でマスコミの放出報道は一応収まった。ところが、一難去ってまた一難。今度は金田正泰監督がそれを不満として12月8日、戸沢球団社長へ電話で「辞意」を伝えたのである。

金田監督はこれまでも「今のままでは他の選手が江夏を受け入れない。球団に適切な処置(トレード)をとってもらわなければ、来季の指揮はとれない」と何度も意向を伝えていた。

あれだけ言ってるのに…。翌9日、兵庫の宝塚ホテルで記者会見に臨んだ金田監督は、どこか吹っ切れたような表情で話し始めた。

――球団は慰留すると言っているが

「心境が変化することはありません」

――辞任の理由は

「ゴタゴタの責任は現場の最高責任者の私にある。チーム作りの上で、違う方向(江夏残留)へは行けないので、辞めさせてもらうことにしました」

――チームに大きな波紋を呼ぶが

「コーチや選手たちと別れるのは心苦しい。だが、好ましからざる者がいては…。私の構想と違うことはできない。このまま静かに身を引きたい」

そんな金田監督を戸沢社長は懸命に慰留した。それは「江夏を残して金田を切ることは球界に悪い前例を作ることになる」という思いからだ。

だが、電鉄本社上層部の考えは少々違っていたようだ。12月10日、神戸市東灘区御影の自宅前で記者たちに囲まれた野田電鉄社長はこう言った。

「江夏君は残す。20勝できる投手はそういません。金田監督も残ってほしい。慰留もします。しかし、これからどうなるかは微妙です」

虎番記者たちは耳を疑った。「両方残せ」の指示はどこへいったのか。そのために戸沢社長は2人の間を駆けずり回っているというのに…。本社上層部にとって〝球界の悪い前例〟などはどうでもいいことだった。20勝投手の代わりはいないが、監督の代わりはいくらでもいる。結果的に二者択一になった場合には江夏を取る―と公言したのも同然だった。

マスコミの論調も変わってきた。

「優柔不断な球団体質を刷新するにはいい機会。こうなれば二者択一ではなく〝喧嘩(けんか)両成敗〟。さらに球団も責任を負うべきだ」。風雲急を告げ始めた。(敬称略)

■小林繁伝29

  1. あすの「ちむどんどん」5月27日OA第35話あらすじ 良子の披露宴が行われるなか賢秀は再び沖縄を離れ…

  2. 「ちむどんどん」“金の亡者”房子=賢三の叔母で確定? ネットの反応「同一人物かな」「三郎の表情が…」

  3. 「おちょやん」テルヲ以上のクズキャラか?「ちむどんどん」手切れ金要求の賢秀に視聴者あ然「一番の最低エピソード」

  4. 【底辺キャバ嬢の盛り場より愛を込めて】困窮女性の大量参入で「ヤバいパパ」が急増 シャワー浴びてる間に財布からお金を盗み逃走

  5. 【許さない 未解決事件のいま】(3)ポツンと一軒家の惨劇 私的懸賞で解決願う長男 茨城高齢夫婦殺害