私は東京・日本橋にオフィスを構えています。日本橋のすばらしいところは徒歩圏内に大型書店と飲み屋の名店が多いこと。
一日の仕事の始まりは、本屋を散歩することが多いです。そのあと事務所で原稿を書いたり資料を作ったり。それが一区切り付くと楽しい時間の始まりです。夕方に出かける2度目の散歩、その目当ては飲み屋さん。
汗ばむ4月は銀座ライオンで明るいうちからビールを飲むのがお楽しみ。冷たいビールをぐいと飲みながら、つまみにはフィッシュ&チップス。この組み合わせが最高なんですよ。「貧乏くさい」などと笑う友人がいたりしますが、何と言われようと私はこの組み合わせが大好きです。
そのフィッシュ&チップス、実はこの食べ物には働く者たちの意外な哀愁物語が存在するんです。これを知れば、きっと皆さんも食べたくなります。そんなわけで「おいしい話」をご紹介しましょう。
イギリスが誇るジャンク・フード、フィッシュ&チップス。その誕生と普及には「産業革命」が深く関係しています。経済や経営の歴史が語られる際、産業革命は人類を一歩前に進めた「すばらしい革命」として紹介されます。しかし、当時の工場労働者たちは必ずしも幸せではありませんでした。