行き場を失った酒米をパフェに 創業300年の老舗京菓子店「いま必要な食品ロス対策」

SankeiBiz

「助け合いの輪を広げたい」

酒米はもち米やうるち米と比べて水分量が少なく、芯が残りやすいという特徴があるが、酒造場のスタッフから米を水に浸す時間や炊き方のアドバイスを受け、和菓子職人らが試行錯誤を重ねた。

当初はおはぎを想定していたが、水分量が少なく硬くなりやすいため、工夫を凝らし、粒あんと酒米の層を中心にバニラアイスやきな粉、黒蜜などが和のハーモニーを作り出す、“豪華なおはぎ”のような酒米パフェを作り上げたという。

試行として期間限定で発売したところ、予想以上に大きな反響が寄せられた。オーダーする客の中には、組み合わせの物珍しさもさることながら、酒米を使用する理由に共感する人も多かった。「コロナ禍による酒類提供の制限がここまで影響を及ぼしているとは知らなかった」という声もあったほどだ。

1つのパフェに使用する酒米は少量で、余っている酒米を全て使い切れる量ではない。田丸さんは「われわれのような小さい和菓子店の取り組みを通じて、こういう酒米の使い方があると知ってもらえたら、また別の新しいアイデアが生まれるかもしれない。助け合いの輪が広がったら嬉しい」と強調する。予定販売数は終了したが再販を検討中で、さらにはパフェに次ぐ第2弾の酒米スイーツも考案中だという。

コロナ下で集客に苦戦する京都市内の映画テーマパーク「東映太秦映画村」と、新選組をテーマとしたコラボ商品も手掛けている。コロナ禍を機に協業をもちかけられる機会も増えたという。都市部の名だたる百貨店に出店するブランド力をもつ一方、「地域で助け合ってコロナ禍を乗り切らないと」と軽快なフットワークを見せる。

笹屋伊織の取締役“女将”、田丸みゆきさん(SankeiBiz編集部)

田丸さんは「300年にわたる商売の歴史は、自分たちの力だけではなく、地域や生産者の方々に守られ、助けられてきたからこそ続けてこられたもの。大変なときこそ自分たちにできることで手伝うのが地域に根ざす老舗の役割の一つだと思っている」と語り、こう続けた。

「われわれが少しでも役に立てるのであれば、この先350年、400年と存続できる企業になっていくのだと思います」

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